5.
GM場面を変えて……さ、いいかな? 一同春華、haruka、はるか、遙か、……何にも進んでないよぉ〜。
1Eへ戻り、法本のノートPCに、手がかりはないかと漁る愛美。
結果は、なきに等しかった……。
ゆかりそれぞれのプログラム……関係ありそうなのに、パスワードが必要なものってないかなぁ? 佑苑もう一回、最初から走らせてみるか、その危険なプログラムを。 GM“電脳教授”を? ゆかりうん。やってみよっか。 愛美走らせたら、(法本たちが)出てくるかも……。
”コマンドを入力してください。”
”h・a・r・u・k・a”
ピーッ。
”コマンド名が違います。コマンドを入力してください”

……。
5人は顔を見合わせた。

――もう一度、やってみるか!?

”放出”
カチャッ。
ゆかりがリターンキーを押した。

”目標を設定してください”

――!!!!!!

「……法本のマシンからしか受け付けないコマンドだったようね。」

にしては、管理が甘いけど。
愛美は心の中で付け足す。

「……先生にしときましょうか。」
「そうね、たぶんあいつが一番死ぬ確率が高いでしょう。
……ゆかりちゃん、代わるわ。」

動かしてしまった以上、法本が何を仕掛けてくるか分かったものじゃない。回復役のゆかりが、ダメージを食らっては元も子もない。

”中崎 利幸……”


”命令了解。放出。目標、中崎利幸”

――ハッキングに成功したってとこか。さっすが、コピ研副会長♪

龍之介の考えが、愛美にたどり着いた時には、すでに“電脳教授”は行動を開始していた。

「誰かがパソコンを動かしたようだね。置いてきたのかね……。」

遠野先生は呆れ顔だ。

「なっ……!?」

シューーーーーーーン。

“電脳教授”の声だけが響いた。
”放出 終了”
GM現実世界の君たちの所に現れるよ。 佑苑うるさいとイヤですね。ちょっと(蹴りを)入れて気を失わせておきましょうか。 GMもう、彼、意識飛んでますよ。 ゆかりじゃぁ、一時ほっとく。 愛美私は出てきたのをよけて続けて放出します。
先に捕らわれたということで、龍之介を出そうとするが、……。
GM/法本「くっそぉ! 邪魔しやがって!!」
電脳世界の二人には分かるんですけど、キーボードが法本くんの所に現れて、カタカタやってますね。
「防壁!!」
宗祇プロテクトか。
ダイス目で勝負するが“電脳教授”を操る法本が電脳世界にいるため、愛美に勝ち目はない。
愛美「ごめん、私の能力じゃできないや……。」っていって、
「何とかならないかな……くそっ!!」と画面に向かいます。
GMと一人ごちていると、画面が揺らぐよ。 佑苑&愛美来た。 GM声だけが聞こえる。
「全く……この程度の相手に何を時間をかけている。」
一同(笑) 宗祇「なかなか、変なところから現れる奴だな。」 愛美もぉ〜いぃーよー。私、後ろ向いていじけてる(苦笑) GM/魔術師「江島愛美。力を貸してやる。<塔>へ来い。」 愛美(ぼろぼろの声で)「はぁ〜い、行きまぁ〜す。」 宗祇「行って来い」 佑苑&叶「いってらっしゃ〜い。」 GM/魔術師(ため息)「お前たちもだ。」 愛美そんなつけたしたように言わんでも……。 GM/魔術師「部外者を気取るつもりか?」 宗祇「俺が行ったとしても何の役にも立てないような気もするが。」 GM/魔術師「立てるようにしてやる。自分の力が信じられないのだったら来なくても良い。宝生院宗祇、自分の力を信じられなかったら、お前に何が残る。」 宗祇この時ばかりはぶち切れかけるな。目つきが怖くなる。 愛美「やめなさい。今は天草くんたちを出すことが先決よ。」
というわけで、全員で<塔>に向かう。
有子に中崎の[記憶操作]と後のことを頼むことにした。
獅子型のノッカーをたたくと、中から影浦が出てきて、応接間に通される。
GM/魔術師「良く来たな。さて、今回もずいぶんと雑な動きをしてくれたな。ま、仕方のないことかもしれんが。今回の敵は<明法博士>。その能力は、おそらく、生徒たちを操る所にあったのだろう……で、お前たちは何を望む。」 ゆかり「中にいる人たちを元の世界に戻して、それから……」 愛美「説得してみるしか、ないわね。」 GM/魔術師「見返りは何だ。私は<奇跡>を起こす以外に動くつもりはない。」 佑苑「こっちからあげられるものがあるのでしょうか。」 GM/魔術師「お前たち自身というのはどうだ? ここで、私と正式に契約を交わす……どうだ? 私が<奇跡>を行わない場合でも力を貸してやろう。私が力を貸す程度では、<世界律>は変わらない。<界新>も起こらない。」 ゆかり「<奇跡>って何なの?」 GM/魔術師「現実を変えることだ。簡単に言えば、立ち向かえないような現実を変えることだ。そして、自分の望み通りの現実を作り上げる。それが<奇跡>であり、<界新>だ。」
「じゃ、あなたと"裏生徒会"との違いって、何なの!?」
「江島愛美、それは、自分たちで考えてみるがいい。」

うっすらと笑みを浮かべ、魔術師は告げた。

「それを聞いた上で俺たちに<奇跡>を願えと言うのか。」
「いや、そうではない、宝生院宗祇。お前たちに<奇跡>は願えない。お前たちはすでに<奇跡>を手に入れている。」

ゆっくりと5人を見渡し、言葉を続けた。

「お前たちは様々な『代償』と引き替えに、そのような力を手に入れている……契約は、私を信用しろ、と言っているのだ。そうだな、私が……。」

魔術師は少し、言葉を切った。
GM/魔術師「お前たちを必要としていると言ったらどうだ?」 宗祇「魔術師も万能ではないと言うことか。」 GM/魔術師「"裏生徒会"はおそらく、次からお前たちを狙うだろう。望めば力は貸す。しかし、強要はしない。」 気前が良すぎて怪しい。 ゆかり「そういう条件を出されるとさらに怪しいわね。分かるでしょう?」 GM/魔術師「こちらかも何かを要求しろと言うのか。」 愛美「それが筋だと思うのね。そんなに気前の良い話はないでしょ?」 佑苑「無償すぎますね。」 ゆかり「要求された上で。」 愛美「考えさせてもらうわ。」
魔術師から出された要求は2点。

1.将来、"裏生徒会"と魔術師との戦いに際し、サポートとして参加すること。
 (魔術師:「お前たちがいなくても勝てるが。」)
2.<魔宝>を一点(ないし数点)、使うこと。

である。

――代償……。
なぜ、私を助けるの??
何を、あなたは知ってるの??
……何を??
ゆかり(半ば呆れた声で)「いいわ。」
今の私たちの力では、どうにもならないのは明白……。
デメリットが全くない。
出された条件でさえ、悪くない。いや、良すぎる。
そんな上手い話が転がっているとは思えない。
それなら、その時は――私自身で決めればいいわ。
愛美「私は飲む。」 佑苑「私はいつも助けられてますから。」 GM/魔術師「なぜか<太陽>はお前を気に入っている。原因不明だ。」
前回の話で<太陽>と関わりを持って以来、なぜか、<太陽>は佑苑にくっついているのです。(笑)
GM/魔術師「現在調査中だ。」 一同(爆笑) GM/魔術師「紀家霞も非常に興味を持っている。なぜ、お前に付き従うのか、<太陽>に取材中だ。」 一同(笑) ゆかり取材中…… 佑苑「ちょこちょこ、来てるんですね、彼は。」 GM/魔術師「あぁ、来ている割に<魔宝>使いの才能が一番ない。 佑苑「困ったものですね……。」 GM/魔術師「おそらく、血が邪魔しているのだろう。それはともかく、どうなんだ?」 佑苑「ばっちりですよ。」
「いつも、これにお世話になっていますからね。」

何もない中空を見つめ、佑苑は言った。
<太陽>――結界を張る<魔宝>……。
――今まで、どれだけこれに助けられたことか……命があるのが不思議ですよ。


「叶圭一郎、お前とは面識がない。今回の条件に即応しろというのは無理な話かもしれん。」

叶はちらりと愛美を見た。
――彼女は普通に生活している。あれほど魔術師に近い人間がごく普通に生活できている……問題ないだろう。

「すばらしい力が手にはいるのなら、僕は喜んで。」 GM/魔術師「そして、最後に宝生院宗祇。神器の番人……。」 仁義……。 愛美&佑苑(笑)任侠もの!! 一同(笑) GM字が違〜う!!
「俺は今までそれらを封じる側にいた。」

声から悔しさがにじみ出ている。

「だが、俺は、今ある力のすべてを使っても、天草や鬼堂を助けることも、法本たちをどうにかしてやることもできない。だから、お前の力は借りる。」
「私の力を使っても、助けられると言う保証はない。」
「分かっている。だが、今のこの手詰まりの状況を打開するためには使える。ただ。」

宗祇は言葉を切って、魔術師を見据えた。

「俺はお前の言う戦いには、自分自身が納得してからでなければ、手を出さない。」
「構わん。」
「申し出を受けよう。」

魔術師は、唇の端に笑みを浮かべた。

「江島愛美は<魔宝>使いの才能を徐々に持ちつつある。だが。宝生院宗祇、お前は、最初からそれを持っている。『神器の番人』として育ったのだからな。」

手の中でステッキを弄びながら、言葉を続けた。

「皮肉にもと言うべきか、幸いにもと言うべきか……。所有者が<魔宝>を拒否している場合の<魔宝>の効率を調査できる。お前は一番良い被験者のようだ。」
GM/魔術師「さて、今回のお前たちの願いは、二人を助け出すことだったな……ついてこい。」 一同(ため息) GM/影浦「おやおや。お茶とクッキーをお運びしたのに残念です。」 ゆかり「帰りにいただいていきます。」 GM/影浦「お待ちしておりますから。」
「奴は何者だ……?」

――なぜ、俺の素性を知っている!?

俺だけではなさそうだ。
生徒会の委員長すべてに関して。
特に……江島には、何かがある。

――だが、俺たちの素性を知って何になるんだ!?

「……坊ちゃまは……悲しいお方です。」
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