4.
PCたちは、体育館へと走り、重い扉を引き開けた。
彼らを待ち受けていた物は、体育館中央あたりでわだかまっている、ハムスターの一団だった。
先頭に立ち、真っ直ぐにPCたちを見据えているのは、群のリーダー、アルジャーノン。
紀家こっちの言葉分かるかな?
「お〜い、アルジャーノン、こっちこ〜い。」
GM無視。
紀家すっげーむかつく。(笑)
GM「人間の言葉、分からないと思います。……私みたいな、ちょっと特別の力がないと。」
龍之介どんな力?
GM対ハムスター限定のテレパシー。(笑)人間相手だと、ペナルティーがかなりキツイの。
有子私もやってみよう。[思考転送](ころころ)成功!
『アルジャーノン、聞こえる?』
GM『何だ、オマエは!』
紀家向こうからも! やはり河合さんに感応したか?
龍之介感動!
有子『私は、ゆりちゃんの友達で有子って言うの。昨日、ゆり子ちゃんから赤ちゃんのハムスターをもらった所なの。きっと、あなたの遠い親戚じゃないかと思うんだけど……。』
GM『そうか、キサマもか!』
有子『え? なに? 何が?』
GM『キサマも面白半分に我々の仲間を弄ぶか。』
有子『そんなことしない! 私、絶対にしない! ゆりちゃんだって、あなたたちにはかわいそうなことしちゃったけど、でも一生懸命……』
GM『狭い籠の中に押し込め、自由を奪うか! あの場所に押し込められ、どれだけの仲間が、飢えに、病に、倒れていったことか!』
有子『でも、ゆりちゃんはあなたたちを可愛がってた。でなきゃ、ずっと食べ物を持っていったりしないと思うよ。』
GM『かもしれん。だが、そのことと、我々を閉じこめたこととは別だ! あくまであの女の味方をするのなら、我らの誇りに賭け、キサマを裂く!』
……ってなことを言ってるんだが、彼の周りのハムスターは、キョロキョロしたり、毛づくろいしたり、何匹かは君たちの方に興味深げに近づいてきたりする。
紀家手、出して、「ほら、恐くない。」(笑)
龍之介がぶがぶがぶがぶ。
紀家「ほら、痛くない(←血まみれ)」(笑)
GM『かつてはあの女を主と仰いだこともある! だが今は違う! 我々は人間の手から逃れ、真の自由を得る! 我ら一同、その心は一つ!』
と言ってるその後ろじゃ、キョロキョロしたり、ウロウロしたり(笑)。
紀家「だったらさっさと出てけよ。所詮、お前らは人間に寄生するしか能がねーのさ。」
って分かんないから言う(笑)。
有子『もうアルジャーノンは、人間のこと嫌いになっちゃたの? もう、信じてもらえないの?』
GM『……』ってところで、勇太くんが口を出す。
「ゆり子ちゃんの話だと、あのアルジャーノンって奴が群を仕切ってんだろ? だったら、何とかして群から引き離して、どーにかしちゃえばいいじゃないか。」
宗祇「アルジャーノンを殺るのはいいが、残りの二匹が黙っているか?」
GM「あの二匹は言うこと聞くんじゃなかった?」
紀家「……ってことは、君はハムスターなんかどうでもいい、とにかく彼女が自分に好意を向けてくれればいい、と?」
GM「うっ……」
紀家「でも、彼女はまだアルジャーノンを選ぶだろうね。」
GM「で、でもたかがハムスター一匹じゃないか。ね、ゆり子ちゃん。」
と言う勇太を、ゆり子はギッ!っと睨み付ける。
一同あ〜ぁ。
宗祇プラスマイナスゼロだったのが一気にマイナスに……。ま、どうでもいいが。
紀家冷てぇ〜。氷のように冷てえ。
宗祇俺、そういう恋愛関係には興味ないから。
「(ゆり子に)で、続けるの? 説得?」
GM「説得します。……あの子たちのこと、好きだから……。」
紀家「無理だね。君は、もう見捨てられてる。単に殺さずに育てればいいというわけじゃないんだ。ま、殺せばいいと言うわけでもないが。」
GM「そんな……」とかなりショックを受けている。
佑苑でも、あれ、全部殺すのも骨ですよ。
宗祇何も全部殺すことはない。何とか引き取り手が見つかれば……。
紀家アルジャーノン以外は納得するだろうね。そこまで知能ないから……って、アルジャーノンが異常すぎるんだけど。
有子『アルジャーノン、あなたたち、ずっと世話する人がいなかったら、そのうち食べ物もなくなって、最後は……。』
GM『構わん! たとえ逃走の果てに朽ち果てようとも、我々は真の自由を手に入れる。我ら一同、自由に焦がれる想いは一つ!』
龍之介あんパンを取り出して、ハムスターたちに見せる。
GM(おっ)
アルジャーノン以外のハムスターの目が、あんパンに集中する。
龍之介外に向かって投げる。
GM『ふっ、つまらんことをする。鉄の結束に結ばれた我らが、その程度の誘惑に……』
どどどどどどどど!
一同(爆笑)
GMパンを追って出ていくハムスターたち!
佑苑あーあ、アルジャーノン、ぼろぼろ。
GMでも、四匹くらい残ってる。
佑苑四天王!
龍之介ついていきやすぜー!
GM四匹は、毛づくろいしたり、カーテンで遊んでたり。で、それに飽きると、あんパンを追って出ていく。
有子アルジャーノンの側に寄ってく。
GM『何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ……』(笑)
有子『アルジャーノン、人間に飼われてるのって、そんなに窮屈で、嫌なものなの?』
GM『かつては、飼われていることを幸せと思った。しかし、それでは自由が……。何故、何故、自分だけが…。』
紀家こいつらは、所詮人間とペットという関係から逃れられないんだ。アルジャーノンは、“自由”っていう概念に気づいてしまったから……。他の奴らは、好きに食える“自由”程度のものでしか欲しくなかったんだね。
GMアルジャーノンはゆらりと立ち上がると、トボトボと君たちの方に歩いていく。
有子あ……。
GM君たちの横を通り過ぎて外へ。そして、だんだん遠ざかっていく。何度も振り返りながらね。特にゆり子ちゃんの方を。
紀家ったく、素直じゃないハムスター。
佑苑全くですね。
有子かなり離れてから、アルジャーノンの方に行く。
GMその時、君の後ろでゆり子ちゃんの声が弾ける。「待って!」そして、アルジャーノンに向かって駆けていく。
紀家あるじゃ〜の〜ん!
佑苑ちゅっちゅ〜!
紀家ぶちゅ。……あ……。(笑)
GMま、それはいいから。ゆり子ちゃんはアルジャーノンを拾い上げて、「ごめんね、ごめんね、ごめんね」と繰り返す。アルジャーノンは抵抗しないね。
紀家はあ、困ったちゃんだなぁ……。
佑苑このヤロー。
べるなで、抱き合うゆり子ちゃんとアルジャーノンを見て、坂本くんは?(笑)
佑苑失恋!
紀家ハムスターに負けた男!(笑)
GM勇太くん真っ白(笑)。
紀家号外〜、号外〜!(笑)
GMその時、みんなの通信機に連絡が入る。会長からの通信だよ。
「そっちはどうなってるんだい?」
宗祇「とりあえず、カタはつきそうです。ハムスターたちは、グラウンドに集結しています。」
GM「そうか、それなら好都合だね。」
紀家「朱凰財閥の力で、何とかなりませんか?」
GM「うん。とりあえず、手は打っておいたよ。しばらく待ってもらえないか。」
紀家朱凰印の宅急便で、ロケットにみんな乗せて、大気圏外でボーン!(笑)
GMバカモノ!
有子ひどいこと言わないでー!
べるなこれが本当のネズミ花火。(笑)
ゆかり「会長〜、回収しきれなかったら、蒼明祭で販売するっていうのはどうでしょう?」
有子「それなら、外部の人にも売れますね。」
GM「とにかく、まずはハムスターをそこから他の場所に移さないとね。……そろそろ、着くはずだ。」
会長の言葉と同時に、夜空の彼方からバラバラバラバラという爆音が轟いてくる。
朱凰財閥のエンブレムをつけた、輸送用ヘリコプターだ!
一同おお!
龍之介たんたかたーんたーん、たんたかたーんたーん(←ワルキューレの騎行)。かっこいい〜!
GMヘリはすさまじい風を起こしてグラウンドに着陸する。
紀家ハムスターが! ころころと飛ばされていくっ!(笑)
有子拾いに行きます〜!
GMゆり子ちゃんも、アルジャーノン、ジェリー、ロッキー、の三匹と一緒に、一生懸命ハムスターを一ヶ所に集めてる。
龍之介可愛い〜。フワフワしてるとこ歩いてみたい〜。
紀家う〜ん、ロッキー、飼ってみたいなあ。
GMで、ローターが静まり、後部ハッチが開くと、中からペットショップのおじさん達が!(笑)
網や、巨大な吸引チューブでどんどんハムスターを回収していく、おじさんズ!
15分後には、ほぼすべてのハムスターがヘリの中に姿を消していた。
紀家ロッキィ〜(泣)
GM「では、私たちはこれで。」
と、おじさんたちもヘリの中へ。でも、ハッチが閉まりきる寸前、二つの影が飛び出してくる。
べるなジェリーと、ロッキー?
GMそう。その2匹は、ゆり子ちゃんの身体を伝って、ジェリーは肩に、ロッキーは頭の上にチョコンと座る。
有子いいな〜(←自分もやってみたいらしい)
GM「この子たち、私を飼い主だって、認めてくれたみたいです。」
と、ゆり子ちゃんはちょっと涙ぐんでる。そして、彼女の背後で、ヘリが再び爆音を上げて飛び立っていくよ。
紀家ふー、こっちは済んだ。次は坂本だ!
さて、その勇太くんだが…。
GM「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(泣)」
紀家か、かわいそすぎて責める気になれない。けど、(号外を出して)「これは、君が作ったんだね。」
GM力無く頷く。その号外は、人々の目を少しでもハムスター騒ぎの追求からそらすために書いたんだけど、もはやそれを話す気力もない。
龍之介「ギッ」って睨まれてたもんなあ。
佑苑うん。
有子でも、嫌いって言われたわけじゃないし……。
龍之介でもあの目はなぁ。
佑苑うん。
紀家だー! なんで最後の希望まで吹き消すかなあ。
龍之介いや、彼女に希望持っちゃダメだよ。(←容赦なし)
GM実は彼女の「ギッ!」は、完全嫌い宣言だったんだけどね。
一同やっぱり。
GM彼女の男嫌いは、小学校の頃、飼育係の男の子が遊びほうけてインコを餓死させちゃったっていう思い出から端を発してるんだ。しかも、その子に反省の色はなかったという。
一同あ〜、ダメだぁ。
有子でもでも、そういうことなら下心があったとしても、ハムスターの世話をしたってことで意識の変革が……。
GMそうそう。
「ハムスターにかこつけて、私の心をどーこーしようとしたのね(笑)。」
有子じゃ、もうダメだ。(笑)
紀家有ちゃんまでサジ投げちゃったよ! 瀬戸内海の彼方に飛んで行けー!
GMさらさらさら…(塵と化す勇太)(笑)
© 1997 Member of Taisyado.