名駅のナナちゃんをめざし、あるいていた。
ナナちゃんの手前にある長いエスカレーター。
上るとそこがバスターミナルだ。
そういえば、今から14年前、同じように歩いていた。
それ以来だから、ほんとに久しぶりだ。
バスは案外空いていた。
通路を挟んで反対側にバスの中から携帯でJRAのチケットを買っているおじちゃん以外は、困ったちゃんもいない。
(バスの中で、電話で話をするのはやめましょう〜)
PSPをしながら、半分がすぎた。
車内の時計は、もうすぐ午後2時半。
なんとなく空気が変わった。
車内に入ってくる空気が少し冷たい。
窓から柔らかく暖かな日差しが差し込んだ。
窓の外には、伊那ICの看板。
長野にきたんだ。
そして、しばらくすれば、諏訪湖だ。
学生時代に、諏訪湖の湖上花火を見てから、無性に諏訪の空気がすいたくなる時がある。そうなると、いてもたてもたまらず、ぱっと出かけていく。
諏訪大社の4社すべてに行ったことがあるが、私の一番好きなところは、下社秋宮。
私が女性だというのも関係あるのかもしれないが、荘厳な雰囲気の上社に対して、優しく柔らかな空気の下社が私にはあっているようだ。
窓の外に目をやった。
「岡谷だ……」
もうすぐ、諏訪だ。
御柱祭だ。
到着して、チェックインに向かう。
軽く1本道を間違えた事に気づいたが、即修正。
あちこち遠征に出かけるので、全国にあるビジネスホテルの会員証を作ったら、チェックインも名前の記入だけですんで、らくちん。
「本日のお会計は、こちらになります」
「えーー!?」
「本日、会員様30%引きの日となっております。」
その割引額はありがたい。
思いがけない料金になり、幸せ気分満載。
さらにさらに。
「ご宿泊者限定で、松本城の入場券を半額で販売しております。」
ということで行ってきました。
天守閣は6F建てでとても見晴らしがよく、上った甲斐はありました。
が。混みすぎ。
そりゃ、混雑してるとは思いましたが、2Fから6Fの天守閣まで30分以上かかるとは予想外。
急な階段や、展示されていた品物の数々、もう少し気分的にゆっくりゆったりと見たかったなぁ……。
そういうわけで、もう1つ行きたかった、旧開智小学校は外から眺めるだけとなってしまいました。とほほ。
また、必ずリベンジします!
で、どうしようかな、と思ったのですが、宿代が割引されたので、それを電車代にして下諏訪へむかうことにしました。
松本駅で電車を待っていると、中津川行きが、車両を接続する、というアナウンスが。
せっかくなので初めて間近で接続をみました。
「あと1m、そのまま、そのまま……」
電子機器全盛の世の中だけど、最後に使うのは、人の声と、腕なんですね。
さて……。
電車は行っちゃったばっかりで、30分弱待ち……少し肌寒くなってきました。
それもそのはず。もう、18時を過ぎてたのです。
遠くから、いくつか花火の音がきこえました。
なんか、祭、って感じがします。
おっ。電車到着。
「この電車はドアが開きません。降りる際には自分で……」
初めてですよ。ドア開ける電車に乗るの。
ちょっと楽しみ、でも、どきどき。
そうこうしている間に塩尻到着。
小渕沢方面へいく電車に乗っているので乗り換える必要もありません。
いつも電車で使っている駅なんだけど、実際に降りたことはなくて。
いつかここに降りてみたいな。
あと3駅。
「下諏訪では、自動でドアが開きます」
うーん。残念。
お祭りの時期ですから、乗り降りが発生するのは当然ですもんね……。
もう外は真っ暗。
もちろん、今日のお祭りはとっくに終わっています。
私の目的は、ただ一つ。
地元でしか買えない(アマゾンでは売っている:笑)御柱祭ガイドブックを入手すること。
だがしかし。
もう19時を回っているというのに、駅にはホームに入りきれない人が改札前で待っている。
もちろん、そんな状態のホームは……ご想像にお任せします。
そんな中をすりぬけ、改札へ。
自動改札も今日は意味をなさず、昔ながらの方式で駅員さんが切符を回収している。
「ありがとうございました、はい、そのままどうぞ」
下諏訪駅を降りてまっすぐに歩いていく。
「かわんないな。」
正直な印象だった。
去年の春くらいに、友人に車でつれてきてもらったときには、片倉館以外は降りてない。
その前に諏訪に来たのは、前回の祭りの時だ。
もう6年も経つのか。
何年経っても、宿場町の風情が変わることがない。
ガイドブックを探しながら、お土産物屋さんを見て歩く。
道の左右にあるおみやげ物屋さんは、もう片づけ終わっているところがほとんどだ。
開いているところを見つけては、片っ端から見ていった。
おんべ、はっぴ、てぬぐい、おまんじゅう。。。
なかなかガイドブックはない。
日はとっぷりと暮れていた。
風はずいぶん、冷たい。
「こりゃ、明日は着込んでもいいくらいだな」
そう呟きながら、大社通りへと足を進めた。
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