そして、それを見ていた那月は。
GM「……愚かな。」と呟いて、わずかに怒りの表情を浮かべる。「そうだ。麗子、楽しい趣向を思いついたわ。あなたの大切な人を殺してしまうというのはどうかしら。」 瀬川(とぼけて)大切な人って誰だ? GMじろっ(瀬川を睨む)。 瀬川さんを狙うわけじゃないんでしょ? GM&麗子狙うんだよ。 経若実に楽しい趣向だ(笑)。 GMじゃあ、瀬川さん、抵抗してみて。 瀬川(ころころ)駄目ですぅ〜。 麗子(ダイス目の悪さに再苦笑。) 瀬川いやぁ〜。もう(←泣かれても困る)。 GMはは。ダイス目の悪さではこっちも負けてないな。ダメージはたったの5点。少し力が抜けただけだな(「死の手」の呪文だった)。んじゃ、麗子さん。 麗子あの〜、目標値20でダイスが5ってクリティカル? GMそう、クリティカル……。 麗子[葉舞刃]、クリティカル! GM……もう、いや。お願いだからダメージ3倍とかは止めてくれよ。 麗子効果は7。 GMちょっと待て、おい。「ダメージ2倍」じゃないか。こらこらー! 麗子これって24Dだよね? GM(渋々)そうです。 瀬川(わざとらしく)あー、面倒臭い。 麗子(同じくわざとらしく)あー、面倒臭い(笑) GMだったらダメージだすなぁ。 ダイス貸しますか? 麗子いい。縁起悪いから(笑)。
ダイスを豪快にじゃらじゃらと振る、麗子。
まあ、6の目が出るわ出るわ。ちなみに24Dの時のダメージ平均値は、84点。
そして、麗子の出したダメージは。
麗子ひゃくいってぇぇぇん! GM……百一点? 経若泣いて(笑)。 GM(うつろに)防護点引いて……。 麗子あ、切りだよ。切り。 GM切りだとおおおおっ! 経若GMが発狂しかけてる(笑)。やべ〜。 真っ二つか、微塵切りだね。 麗子はっと我に返って「那月? 那月!」 GM(計算しながら)……あんたがやったんだろーが(笑)。 経若ここまでやるとはねぇ。 GM……君の放った[葉舞刃]は那月を容赦なく切り裂き……。 麗子あの世へ送ってしまった? GM最後の一言くらい言わせろって(笑)。そして肩から上を残し、他の部分は呪符になって空に舞っていく。 一同おお……。 麗子「那月……。」
GM他のみんなの方だけど……突然、式神の様子がおかしくなったね。身体から煙のようなものが出ている。動きも止まるから自動的にダメージを出してくれていいぞ!(再びやけくそ) ダメージ出すも何も、俺の相手は……。 経若金縛りかかってるもんね(笑)。 GMまあ、止めを刺してあげて。 憑依しちゃいけないの? GMしてもいいけど意味ないぞ。死ぬ瞬間の感覚を味わいたいなら別だけど。 経若面白いかもしれない(←ヤバい発言)。 いや、やめとく。 麗子(思い出したように)……結局、瀬川くんの立場って一体……(笑)。 GMだから、倒したのはあんたでしょーに。
式神たちは次々と倒されていった。
唯一、ノーダメージだった<水面>も創り手である那月が死んだ以上、いずれ滅びるしかない。
そして、経若は。
GMあ、経若くんは攻撃してもいいよ。那月の死に気づいて隙ができるから。もちろん、しなくてもいいよ。 経若したくないから、いいです。 GM「あなたの勝ちね、経若。でも私はあなたに殺されたりしない……。」そう言って、薙刀を自分の胸に突き刺した。 経若おい〜! なんてことするんだよぉ〜。 GM甲斐くんは慌てて走り寄る。「舞花! 舞花!」 経若こっちも近寄る。 ま、いっか。 GM……サイテー(ジト目)。 経若今マジで殺意が目覚めた(笑)。 GMで、甲斐くんが薙刀を抜くんだけど、傷跡がない。 経若あれ? GMすると舞花がうっすらと瞳を開けるよ。「……甲斐くん? それに……誰?」 経若「紅葉に関わりのある者です。」 GM「紅葉……なぜだか懐かしい気がする。」
やがて、那月によって形創られた結界が歪みだし、揺れだし、崩れだした。
その中でクロは。
GMクロの周囲でも炎がさらに激しく吹き出し、地面が揺れている。 クロ拓矢は? GM少し離れたところにいる。服に火の粉がかかってるよ。急いで駆けつけたいなら、敏捷力で判定して。 クロ「タクヤぁ〜!」マイナス5の成功。 GM何とか間に合った。ま、背中にちょっと炎が降り注ぐけど。じゃあ、その瞬間に結界は引き裂かれて消滅する。みんなもとの場所に戻ってきたよ。 GM、人間に戻ります。 麗子「那月、那月!」 GMという声の方には瀬川さんと麗子さん、そして倒れている那月がいる。那月は肩までしか身体がなくて、辺りに呪符が散らばっている。 ぼそっと「……何だ、終わったのか。」 麗子「那月……。」 GM「これで良かったのよ……私はあなたと共に生きられないと分かったから……。」 麗子「……安らかに、眠って。」 GMすると背後の方から「ちょっと待ってくれませんかぁ?」という、のんびりとした男の声がするぞ。 経若出たあ〜(笑)。 GMボートに乗ってやってきたのは、もちろん野牟田くん。それと氷高先生と由美もいるね。 麗子「遅いわ、野牟田くん!」 GM「でも麗子さん、場所を教えてくれなかったじゃないですか。氷高さんから聞いてここが分かったんですよぉ。」そう言いつつ、妖術で腹の中に置いていた純さんを外に出す。 麗子「那月、最後に私の願いを聞いて!」 GM「……どういうことなの?」
地浦純。吸精妃と人間の血を受け継ぐ少女。
その血ゆえに苦しみ、両親の思惑に操られ続けた哀れな娘。
麗子と瀬川を除く<大社堂>の面々は、彼女と戦った。その後、彼女を救う方法は一つしかないと判断した。
すなわち、妖怪の血を封印すること。
それが可能なのは、ただ一人。

――そう、陰陽師・阿部那月だ。
麗子「あなたにしかできないのよ!」 GM那月はゆっくりと首を振る。
「無理よ。今の私を見れば分かるでしょ? 私には血が流れていないの……私は無玄骸連に復活させられたけれど、その術が終わらないうちに奴から逃れてきたの。だから、身体は完全に創られていない……。<龍>の力と呪符で何とか誤魔化していただけ。」
「式神を使う彼女自身が、式神みたいなもんだったんだな。」 GM「鋭いわね……飯綱の坊や。」 「爺ちゃんからいろいろ教わったからね。」 GM「私にもできない……だけど、できる者がいるわ。今、ここに。」 麗子「まさか……。」 GM少し微笑むね。「風斗くん……あなたと由美さんなら、できるわ。」 風斗「俺と由美で?」 GM「麗子。私の懐剣を取って。それは儀式のために清めてあるから、使えるわ。」 麗子「でも……大丈夫かしら?」 GM「確かに一度<龍>の力を呼び出すために使ってしまったから、これ以上は耐えられないかもしれない……<剣の巫女>の一族には、力を自在に操れる剣があると聞いたけど……今はこれでやるしかないわ。」 風斗「はい……。」 GM那月は大きく息を吐いて
「あとは自分たちで頑張りなさい……。麗子、そろそろ別れの時が来てしまったみたいね……。」
麗子「何百年先か分からないけれど、会いましょう……もう一度。」 GM「無理よ……私にはもう、魂なんてないもの。でも、もう、一度……。」そして、月は時の彼方へと去っていった。
第6章 了  第7章へ つづく
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