GMでは、経若くん。君は甲斐くんと一緒。
経若はい。
GM今いる所は霧がかなり出ているんだが、そこに人影がぼうっと現れるよ。
経若(息を呑み込む。)
GM手には何か長いものを持っているようだ。
経若ちょっと何でぇ? 関係ないんだろ〜。
GMその人影は、霧から姿を現すね。
経若(半ば諦めたように)それ、見たことはあります?
GM顔に般若の面をつけている。
経若いや〜ん。
経若のプレイヤーは女性です。念のため。
GMそして、憎悪に燃える瞳で君たちを睨み付けているね。
経若「……母さん。」
GM「待っていたわよ、経若。」
経若「僕は母さんを助けたかったけど、舞花さんのために母さんを倒す!」
GM「ふふふ……笑わせるな。」――あ、間違えた!(笑)
薫おお〜い。
麗子笑わせないで、でしょ?
経若母さん、どうしたんだ!(笑)
GM(気を取り直して)「ふふふ……笑わせないでちょうだい。鬼として力が劣るあなたに私を殺すことなどできないわ。」
経若「できるよ! さやか、頼む!」
GM「分かりました、経若様。」すると、護刀さやかの身体が光り輝き一瞬の後には、真の姿である<降魔の剣>に戻るよ。
経若はい。
GM「<降魔の剣>……でも、そんなものが今の私に通用するかしら?」そう言って、にやりと……あ、笑えないんだ。
麗子面だもんねぇ(笑)。
大社堂のメンバー・紫苑寺舞花の身体を乗っ取った<鬼女・紅葉>。
実はシリアスが苦手なのかもしれない。(違うって。)
GM「……それにしても、私が現れたことにだいぶ驚いているようね。」
経若「だって……母さんは那月の仲間じゃないんだろ?」
GM「当たり前でしょう。」
経若「じゃあ、なぜ?」
GM「決まっているわ――あなたを殺すためよ。」
経若「母さん……。」
GM「それに無玄様の命令もあったから……そうでなければ、那月のような人間など私には関係ないわ。」――かなり『鬼』の残虐な部分が出てきているようだね。「さあ、覚悟なさい。あなたを殺し、その剣も粉々にしてあげる。」
経若「そんなことはさせない……!」
先手を取った紅葉は、舞花の妖術[怨鬼斬]&薙刀攻撃で経若を攻撃。辛うじて薙刀の一撃は受け止める。
経若は[降魔斬]を放つ。これは鬼にしか通用しないが、威力レベルは12と強力だ。紅葉はこれでそこそこのダメージを受け、続く剣の攻撃も浴びる。
GM「やるわね。それとも、その剣のおかげかしら?」
経若むかーっ!(笑)
GM「落ち着いて下さい、経若様。」さやかがそう言っているよ。
経若「分かっているよ、さやか。」二人で一人だから怒らない。くそっ(←怒ってる)。
GM「ところで、経若。いいのかしら? 私ではなく、この娘を傷つけて。」
経若「甲斐さんごめんなさい。」
GMでも、甲斐くんはそれには答えないで、笛を取り出して吹き鳴らし始めるよ。「舞花、聴いてくれ!」とか言って。
一同俺の歌を聴けーっ!(爆笑)
GM違う! まあ、必ず出るんじゃないかと思ってたけど。
経若言わなくちゃな、と思って。
GM次はクロくん。君が来たところは灼熱の炎が吹き出す空間。
クロ「あの女、なめた真似を……。」
GMそんな君の前に現れるのは当然、炎の固まりだ。そして、そいつの後ろには拓矢くんが倒れている。
クロ「タクヤ!」と言って、そのメラメラした奴を迂回して拓矢の元へ行く。
GMそれは無理と言わせてもらおう。「行きなさい、<烈火>。」という那月の声が響く。「さあ、クロ。私の式神を倒して見事に『景品』を手に入れることができるかしら?」
クロ「ふざけてんじゃねえぞ!」
GM「あら、わたしは本気よ。それから、そこにあるのは身体だけ。魂は私が持っているわよ。せいぜい頑張ることね。」
クロ「くっ。せめて身体だけでも。」全力攻撃で三回攻撃だ!
GMあれ? 妖術は?
クロあ、そうだった。
GM使わないんだね。よし(勝手に納得)。
クロ(GMを無視して)妖術は成功。
GMひでー。こうなったら意地でも回避してやる。(ころころ)はい、回避できません(笑)。質が悪いな、今回の式神は。
麗子その式神を創ったのは誰?
GMえ? 阿部那月(へーぜんと)。
瀬川今の答え、すごくいい!
麗子じゃあ、那月を創ったのは?
GM那月を創ったのは――。
麗子がしゃどくろ(笑)。
GMあれは創ったんじゃないってば。まあ、肉体が新しく創られたのは事実だけど。
GMでは、麗子さんと瀬川さんの番だ。那月が手をかざしながら「<龍>の力を使えば、こんなこともできるわ。」と言うと、空中に戦っている仲間の姿が浮かび上がるよ。いかにもありそうなお約束の展開です(笑)。
麗子(わざとらしく)「舞花ちゃん!」(笑)
GM「そう。なぜかは知らないけれど、あの女が協力してくれるらしくてね。忌々しいけど、人手が足りなかったから。」
麗子「風斗くんは……勝っているみたいね。」
GMむかっ(笑)。
瀬川「なかなか粋な計らいをしてくれるな。」
GM「そうでしょう? 仲間が死んでいく様子が見られるなんて、なかなかあることじゃないわ。」
麗子「仲間が生き残る様子を見るのも、いいかもしれないわね。」
GM「さあ、それじゃあ私たちも始めましょうか……麗子。」
麗子「……麗子、と呼んだわね?」
GM「えぇ……たとえあなたが我が師匠・真樹奉全であろうと、妹弟子の麗であろうと……。」
「真樹麗子、私はあなたを倒すわ。」
その時、私の脳裏に過ぎし日の思い出がよぎった。
戦乱の世に陰陽師としては穏やかな日々を過ごしていた。
無論、常人からすれば危険に満ちてはいたが、私には心許せる二人がいた。
厳しくも優しい師・真樹奉全。
常に明るく心優しい少女・麗。
幸せだった。
なのに、それがいつの間にか悲しい色に染まってしまった。
私をかばい、麗は倒れた。
誰にも負けないと思っていた奉全様にも、死は襲いかかった。
そして、<麗>が産まれた。奉全様の肉体と麗の魂を受け継ぐ新たな<御柱>。
けれど。いや、だからこそ<麗>は麗――潤葉ではなかった。
私はその瞬間、自分が一人になってしまったことを悟った。
私はその孤独に耐えられなかった。
だから。
麗を取り戻すために命を賭けて臨んだ儀式を行い、そして失敗した。
そのことは後悔していないはずだった。
だが、違っていた。死してなお、麗と共にありたいと願っていた。
だから。
私は今ここに在る。無玄骸連の誘いにわざと応じ、かりそめの肉体を手に入れて。
けれど麗子は事実を知りながら、私との決別を叫んだ。麗の魂を取り戻すには、あまりにも時が遅すぎたのだ。
あの子は麗ではなく<麗子>なのだ。
私は決意した。
そう、これが私の最期の戦いだと……。
瀬川(ころころ)先手は取った。[毛針]をいきなり使いましょうか。(ころころ)当たっている。
GMふふふ、ここに取り出したる『ガープス・マジック』を……(ころころ)よし、成功。那月の姿がふっと消えて、麗子のすぐ傍に現れるぞ。
瀬川[瞬間回避]か。
麗子(不敵に)「あら、いらっしゃい。」
第5章 了 第6章へ つづく
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