「さて、こんな所に突っ立ってても仕方ないし、土産物屋にでも戻らない?」
薫くんの非常に建設的な意見が出たにもかかわらず、なかなか話が進まない。
夜の初島へどうやっていくのか、ということから、現在の麗子さんの心理まで、非常に幅広い(笑)。
話題は真面目なのでGMも「ええ加減にせんかい!」などとは言えず、時間がどんどん過ぎていく。
それに終止符を打ったのは、経若くんのこの一言だった。
経若「由美ちゃんは大丈夫? 色々と気になっていたんだけど。」 一同おお(すっかり忘れられている)。 麗子じゃあ、私が氷高の所へ行かないと。 GM風斗と一緒に行くんだね。 風斗家に戻ります。 GMでは家に戻って二階へ上がると、由美ちゃんは相変わらず氷漬けです。氷高先生は窓の外を眺めているよ。で、君たちの方をちらっと見て「――帰ってきたのか」 麗子「氷高さ――いえ、氷室。彼女はどうなのかしら?。」 GM「急がなければならないな。今の時点ですら、俺には止められない。<龍>の力を何とかしないと、榊由美の身体はばらばらになってしまう……。」 (<龍>と聞いて)俺も行けばよかった。 GM「この娘がまだ完全に目覚めてはいないからだろう――おそらく。」 風斗「どういうことですか、氷高先生?」 GM「榊由美は――いや、『榊』の血を受け継ぐものは特殊な家系なんだ。」 風斗「どんな……?」 GM「……(沈黙)。」 麗子「(フォローするように)では、急がなくてはならないわね。」 GM「そうだな……。(麗子に)今夜、阿部那月と決着をつけるのだろう? 過去にも決別をつけろとは言わんが、あの女はすでに狂っている。お前の手で……止めてやれ。」で、今度は風斗の方を向いて、「壬生風斗。」 風斗「(緊張した面もちで)は、はい。」 GM「私と一緒に来い。それから」と言って、由美に手をかざすと氷が砕け散る。「榊由美も連れてこい。」 風斗「ど、どこへ……?」 GM「いいから来い(笑)。」 風斗とりあえず、由美を抱えて……。 GM「真樹麗子、二人を借りる。安心しろ、取って喰ったりはしない。」 経若この人でもギャグ言うんだ(笑)。
ギャグではない。<氷神>の一族は人を襲い氷漬けにして隠れ里に飾ったり、取って喰う者もいるという設定なのだ。
風斗とにかく行きます。 GMじゃあ氷高さんの車に乗って、たどり着く先は……誰も知らない山奥の洞窟だ。「榊由美を連れてこい」と言ってどんどん行っちゃうね。 風斗慌てて追いかけていく。 GMしばらく進むと氷高先生の歩調がゆっくりになる。「昔、私には愛する女性がいた。」 風斗……ちょっとびっくりする。 GM「何を驚いている」 一同(笑) GM振り向かずにツッコミ(笑)。 風斗そんな〜。 GM「気配ですぐ分かる。」 というよりNPCだからだろう。 GMまた、そーゆーことを。「<氷神>一族は冬の恐怖から生まれた妖怪……私に限らず、誰もが人間に関して冷酷だった。私も彼女と出会うまではそうだった……彼女は光り輝く太陽のような存在だ。」――ああっ、我ながら言ってて恥ずかしいっ!(笑) 麗子GM、ファイト! 氷高の表情が見たい。 GM見えません。(笑) 麗子背中から照れてるのが分かるんだ。 経若耳が赤いぞ、みたいな(笑)。 GM「だが、一族の者は私と彼女が結ばれることを許さなかった。そして、何を考えたのか彼女を永遠に溶けない氷の中に封じたのだ。俺にはどうすることもできず……彼女は今も眠り続けている。」 風斗それが夢の中の……? GM「さっきの質問にまだ答えていなかったな。榊由美は<贄の巫女>の血を継いでいる。<榊>は神前に供えられる神木の意……すなわち、生贄を意味しているというわけだ。<贄の巫女>の血肉を捧げることで、儀式の効果は何倍にも高まる……。」 風斗&薫「触媒みたいなものか……」 風斗ハモってる(笑)。 GM「そして……俺の愛した娘・榊梢も、<贄の巫女>の一人だ。」その言葉と同時に広い空洞部分に出るよ。すべてが氷に覆われているその中に――。 風斗由美そっくりの……。 GM(バレバレか)そう。まあ、多少は年が上みたいだけど、顔立ちは由美とそっくりだね。そんな女の子が氷の中に眠っている。 風斗それを見て夢に出てきた人だってことが――。 GM分かります。「……壬生風斗。お前と榊由美の力で梢を助けてくれ。」 風斗「助けるって……どうやって?」 GM「儀式には、それを行う執行者が必要だ……その執行者としての血を受け継いでいるのが壬生風斗、お前だ。」 風斗「ええっ?」 GM「壬生風斗……母親の旧姓を知っているか?」 風斗「いいえ」 GM「はぁ……(深いため息)」 呆れられてる(笑)。 GM「壬生というのはお前の父が勝手に名乗ったものだ。母親の旧姓は、司 。すなわち儀式のすべてを統べるものの意。お前は<剣の巫女>の血を受け継いでいる。」 風斗「<剣の巫女>……。」 GM「そうだ。……<贄>を切り裂く<剣>なんだ、お前は。」 風斗「そんなこと、できるわけないよ!」 GM「安心しろ、別に榊由美を殺せと言ってるわけではない。」 風斗「でも……じゃあ、どうすれば?」 GM「確かに、儀式として完全な力を引き出すならば、巫女の命が必要だろう。しかし、梢を助けるだけならば少量の血で済むはずだ。」 結局は血が必要なんだな。 GM「榊由美が巫女として目覚めてからでいい……梢を助けだしてくれ……俺はそのためだけに生きてきた。」 風斗「(あっさりと)分かりました。」 えっ?(驚) 経若うわっ!(同じく驚) 風斗え? え? 駄目なの? ……あっさりと。 氷高の欲望についていきます、ということなんだよ?(笑) 風斗あっ? あっ! あ〜っ! 経若いいのかなあ? 自分の恋人を傷つけていいわけ? 麗子でも、それは風斗の意志なんだから。 風斗いや、あの、殺さなくていいなら……。 土下座するまで待つかと思った(笑)。 GMそんなに土下座してほしいかい? 麗子何のために麗子が送り出したのか、考えないと。 GMけど、人の想いなんてものはなかなか伝わらないもんだよ。どんな場合でもね。 麗子そうだねぇ(しみじみ)。 GM「……壬生風斗。一応、礼だけは言っておく。」 礼だけは言っておくって……礼を言って当然のことでは?(笑) GMそーゆー人なの。「それから、榊由美は私が預かっておこう。」 風斗(不安そうな目)。 GM「心配するな。俺が榊由美を傷つけたところで意味はない。」つまり、無意味に傷つけるんじゃ力は発揮されないってこと。 風斗「あの、榊家の人なら絶対に由美じゃなきゃいけないってわけじゃ……。」 経若お母さん、傷つけます?(笑) GM「血は年を経るにつれて弱くなるものだからな。」 風斗つまり若い子がいい? GMまあ、単純に言うとね。実際のところはもう少し複雑だけど。「少し不安があるとすれば……(風斗の顔を見て)いや、今は何も言うまい。」 風斗「はっきり言ってください(笑)。」 GM「俺の不安は……壬生風斗、お前だ。」 風斗「どういうことですか?」 GM「いや……お前は自分の血を信じるしかない。」というわけで、氷高先生は君たちを連れてさっさと出ていきます。すると諏訪湖上に再び<龍>が現れるよ。 風斗由美はまた苦しんだりしない? GMそれはない。そして<龍>も5分くらいすると消えちゃうね。「行くぞ、壬生風斗。どうやら時間がないようだ。」
第3章 了  第4章へ つづく
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