2.新たなる兆し
GMじゃあ、場面を大社堂に変えよう。三人集まるわけだね。風斗とクロは分かるけど、茜さんは怪我をしているね。刃物で切られたような傷だ。 風斗「茜さん、その怪我は?」 階段で転んじゃって(笑)。 GM変なつっこみ入れるなあっ! 麗子シリアスな場面なのに。 「人には言えないこともあるのよ……まあ、人じゃないけど。」 GM一人ボケツッコミだな(笑)。 「これは……夢に出てきたクロが私を攻撃したものなの。」 麗子クロ!(笑) 「彼の思いが強かったのか、本当に怪我してしまったみたい。」 クロあああ、そういえば前回「てめえは気にいらねえんだよっ!」って攻撃したんだっけ。(ちょっと落ち着きなくきょろきょろしている。) 「……なあんてね。うふっ♪」 経若……何かズレてる気が。
茜が傷のことは気にするな、と言うので深く追及もできず、風斗は由美の身に起きた異変について話す。また、クロも阿部那月の伝言を教える。とは言え、麗子がいないのでは話にならない。
こうして三人は眠れぬまま……。
GM一方、麗子さんたち。ようやく諏訪湖が見えてきたね。 瀬川急げ、急げ〜。 GMラジオのニュースなんかによると、震動はまだ続いてるんだけど、原因は不明だそうだ。 瀬川それが分かったらねぇ……。 GM甲斐くんが不安そうに「麗子さん、大丈夫でしょうか?」 瀬川「今は大社堂に戻るしかないだろう。」 GMそうすると自動車の上にどん、と何かが乗ったような音が。 瀬川じゃあ、窓を開けて「いきなり何しやがる!」(笑) GMそこには白い大きいイタチみたいなのがいる。明らかに普通の存在ではない気配を放ってるよ。 「よおっ。」 瀬川「お前、何者だ!」 「まっ、ちょっとな。」 瀬川捕まえてやる。がしっ! ひょいっとかわして手を叩いてやろう。 経若ムカつくぅ〜。 瀬川(熱くなって)よしっ、判定しよーじゃねーかっ! よおおおしっ! 経若イタチとかわうそが遊んでるよ(笑) 麗子GM、[絡め綱]使えません? 瀬川やめてくれ、人がいる(笑)。
判定の結果、謎のイタチは瀬川に捕まえられてしまった。早朝で車の通りが少なかったのが幸いして、誰にも見られてもいない。
「馬鹿野郎、俺はある方の使いでお前たちの手助けに来てやったんだよっ!」 GMと言う訳で、薫くんの回想シーンに入るとしよう。
薫は、元々恐山のイタコに仕える飯綱だった。で、そのイタコと旅に出たんだけど、長野県戸隠山で彼女は死んでしまった。
「婆ちゃん、婆ちゃーん。」 GMそこに現れたのが戸隠山の主、九頭竜なのだ。 「九頭竜様、婆ちゃんを助けてくれよ〜。」 GM「このわしでも失われた命を復活させることはできんのだ。」 「だって九頭竜だろ〜。」 GM「いい加減にせんかぁ〜い!」……なんてことがあってから、君は戸隠から動けない九頭竜に代わって働くようになった。 パシリだね、要するに。 GMその通り。それが100年前の話だ。 じゃあ、今は九頭竜になついてるんだな。 GMそしてこの間、戸隠に余所の妖怪がやってきて大暴れした挙げ句、九頭竜のじっちゃんと仲良くなったらしい。 瀬川ぶっ。(吹き出している) 「何なんだ、あいつら?」 GMで、その後、九頭竜のじっちゃんに呼ばれるよ。 「何だい、じっちゃん。」 GM「実はお前に頼みたいことがあってな。今までわしも知らなかったのだが、ここから南にある諏訪地方は<龍>の力が発現しやすいらしいのだ。」 龍穴ってやつか? GMそれとはちょっと違う。 フォッサ・マグナか? GM(どきっ)さあ、どうでしょう?「お前に頼みたいことと言うのは他でもない大社堂の妖怪たちと協力するのだ。」 「ええ〜(不満顔)。俺一人でも大丈夫だよ。」 GM「はあ……(ため息)。お前は何にも分かっとらん。」 「じっちゃんこそ、俺を少しは信用してくれよ。」 GM「信用は…・まあ、一応しておるが。」 瀬川(笑) 経若……まあ、って……(笑)。 何だよ、今の間は。 GM「それはともかく、<龍>の力の本質を見極めるためにも……こら、聞いとんのか、お前は。」 (笑)「聞いてるよ〜。」 GM「では、早く彼らに合流するのだ。」 「ま、じっちゃんの頼みとあれば仕方ないな。行ってやるよ!」 GM「……本当に、不安じゃな。」 「――と、いうわけなんだ。」 瀬川「だからって、その格好で来たら人間たちにバレるだろうが。」 そこで人間の姿になって「これなら文句ないだろ?」 麗子遅いって。 「気にしないでくれ、兄ちゃん。」 瀬川「……これだけ乗ったら大変だな。」 ちなみに外見は十二、三歳のスポカジ少年だ。この辺(鼻のあたりを指す)に絆創膏を貼ってる。 GMおおー、いかにもって感じだな。 「よろしくな。」
GMえー、昼頃に大社堂に到着するよ。三人には車のブレーキ音が聞こえる。 クロ「来たか。」 瀬川麗子さん抱えて入りましょう。 一番後ろでポケットに手を突っ込んで、ふんぞり返ってる。 クロこっちは二階にいるの? GM二階だろうね。 クロじゃ、階段をダダダっと駆け降りて。 瀬川「すまない。布団を引いといてくれ。」 GMそういう瀬川さんに力なくもたれかかっているのは、なんと麗子さんだ。しかも全身が光り輝いて呪文が浮かび上がっている。 クロ「レイコ、のん気に光ってる場合じゃないぞ(笑)。」 麗子「クロ……クロなの……?」 風斗「麗子さん、しっかりしてください!」 麗子「風斗、いるの?……風斗……。」 「どうしたの?」 瀬川「……ちょっとな。」 GMとりあえず麗子さんを彼女の部屋に寝かせた、と。 クロのところへ行って「お手。」 クロ「何だ、お前?」 GM麗子さんは苦しみ続けている。 麗子「う……うう……。」 瀬川野牟田くん、来ないの? 経若(ぼそりと)呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃ〜ん。 瀬川<龍>のこととか、聞きたいんだが。 クロクロとしてはさっさと初島へ行きたい。 GMそれはロールプレイで何とかして。 麗子「……何があったの……?」 とりあえず彼ら(薫&経若)のことを。 瀬川「(薫を見て)簡単に自己紹介しろ。」 「じっちゃんの使いだ。えっへん。」 瀬川「それじゃ分からんぞーっ!」 経若じっちゃんの名に賭けて、とか言ったりして(大爆笑) GMちょっと待てーっ! 経若あ、謎が解けた時に言わなきゃいけないんだっけ?(←違うだろ) GMまあ、それはともかく。薫くん、続きをどうぞ。 「綱守薫。じっちゃんの命令であんたらと協力して<龍>を何とかしろって言われてね。ま、しょーがなく来てやったんだけど。」 瀬川「(無視して)じっちゃんってのは、戸隠にいる九頭竜のことだ。」 「まさか、じっちゃんを知らないなんて言わないだろーな?」 茜&クロ「知らない(笑)」 「てめえぇぇぇらぁぁぁ!」 麗子ぱーんち! 経若麗子さん、動けないのにツッコミをしてくれているっ!(笑) 風斗「瀬川さん、この人(経若)は?」 経若(GMに)全部言っていいんですか? GM結局、いつか言わなきゃいけなくなると思うよ。 経若「僕は護刀経若といって、皆さんの仲間だった舞花さんに乗り移っている<鬼女・紅葉>の子供です。」 風斗「え……。」
注:戦後すぐに紅葉が乗り移った舞花と戦った、麗子・瀬川・野牟田・茜だけが、舞花に<鬼女>紅葉が乗り移っていることを知っているため、他のプレイヤーには知らされてませんでした。
麗子上半身を起こして説明をしようとしているけど無理なんだろうな。 GM茜は会ってるけどね。前回のラストで。 あの時か……。 風斗「(訳が分からず)えええっ?」 GMでは、説明しよう。
鬼女紅葉伝説。

会津に住む笹丸・菊代夫婦が大六天魔王に祈願し、手に入れた娘。その名は呉葉。
その美貌を武器に京へ出向き、源経基に見初められる。
彼女は紅葉と名を変えて、彼の側室となった。そして経基の子を宿すと、正妻に死の呪いをかけていたが、これが露見。長野の戸隠山に流される。

しばらくは村人に読み書きを教え、術を使って病を治すなど改心の兆しがあった。
しかし、紅葉の心に再び鬼が甦る。彼女の下に集まった鬼女御万や山賊と共に悪業の限りを限りを尽くしたのだ。

その彼女を征伐したのが、平維茂。紅葉の力の前に一度は破れたが、邪悪を滅する降魔の剣で恐るべき鬼女を討ち果たした。

村人たちは優しかった紅葉を偲び、今もその霊を鎮めるために祭りを執り行っているという。
GM……で、そうすると経若くんの持つ剣が人の姿へ変わる。ストレートの黒髪がきれいな、高校生くらいの和風美少女だ。 瀬川びっくりした。(笑) GM「私は維茂様によって振るわれた降魔の剣。今は護刀さやかと名乗り、経若様をお守りしております。」 瀬川全然知らなかったぞ。 GMそりゃ、知らないだろうね。
さて紅葉の死後の話だが、経若丸は殺されなかった。維茂も子供を殺すのはさすがにできなかったのかもしれない。それに、紅葉の存在もあった。確かに彼女は鬼だったけど、人の心もわずかだったが持っていたんだ。経若丸が穏やかな性格なのも、彼女にまだ人の心が残っている証拠だと維茂は考えた。
だけど、それだけに紅葉を殺してしまったのは維茂としても悔やまれることだった。でも、たとえ紅葉が甦るとしても自分はもうこの世にいない。そこで、経若丸に降魔の剣を渡すことにしたんだ。いつか甦る紅葉に人の心を目覚めさせることのできる存在――経若丸にね。
つづく…………
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