1.動き出す者たち
GMでは、前回からの続きです。<龍>らしき存在の出現と共に輝きだした由美ちゃんは、いまだに苦しんでいます。 風斗「しっかりしろ、由美!」 GMさすがの由美ちゃんも答えられないみたいだね。意識を失いかけてる。 麗子あんなに瀬川さんに電話をかけろって言ってた由美ちゃんが。(笑) GMあの時から少し時間が経ってるよ。そうすると突然、下の方で「誰なんですか、あなたは?」という由美ちゃんのお母さんの声が聞こえる。 風斗ちょっと気になるから、由美をちらっと見て下へ行きます。 GM階段を下りる途中で見覚えのある男性と鉢合わせするよ。氷高先生だ。
氷高蒼流。冷たい風貌の謎めいた男。風斗の高校の数学教師をしている。その正体は冬への恐怖から生まれた<氷神>。<大社堂>の先代メンバーの一人だが、<龍>の力に関して仲間と対立。現在に至るまで姿を消していた。
風斗「氷高先生!」 GM「榊由美は大丈夫か?」 瀬川(耐えきれずに笑い出す。) GMなぜ笑うーっ!
前回、氷高役だったからである。
風斗「さっきの<龍>を見て何だかおかしくなっちゃって。」 GM「やはり」と言うと、君を押し退けて部屋に入る。で、苦しむ由美ちゃんの姿を見て「やはりこうなったか……」と呟く。 風斗「氷高先生は何か知ってるんですか?」 GMそれには答えず、氷高は由美に手をかざす。すると、由美の周囲に冷気が集まりだして凍りつくよ。ピキーンとね。 風斗「何するんですか、先生!」 経若確かに何するんですか、だよな。いきなり来ていきなり凍らせて(笑)。 GM「少しは落ち着け、壬生かじゃと 一同(大爆笑) GMしまったあっ! 経若お前だよ、落ち着くのは(笑) 麗子落ち着け、GM。 GM分かってる。 風斗「落ち着けって言ったって、そんな。」 GM「状況をよく考えてから質問するべきだな。榊由美は仮死状態になっているだけだ。」 風斗「由美は大丈夫なんですか?」 GM「今のところは、な。」見れば君にも分かるんだけど、由美を包んでる氷から水蒸気が出ているんだ。 風斗昇華してる? GMそうそう。氷高は悔しそうに「やはり俺では止められないか」 風斗驚いて見つめてる。全然分からない。 GM「壬生風斗。お前は早く大社堂へ行け。」 風斗「由美をほっといて行けません。」 GM「では、一つ聞こう。今お前がここにいて何かできることがあるか?」 風斗……。 (小声で)手を握ってやる。 GMちなみに手を握ってやるのは無理です。氷の中ですから(笑)「早く行け。榊由美は私が見ていよう。」 風斗「分かりました。」ちょっと不安だけど、行くしかないか。 GM風斗が大社堂へ向かっている間も<龍>は暴れているんだけど、一際大きな咆哮を残して諏訪湖へ消えていく。 風斗湖の中へ? GMうん。震動はまだ続いてるけれどね。 GM次はクロ。君は家にいる。さっきまでの<龍>は姿を消したものの、震動は静かに続いている。 クロとりあえず慌てふためいて、わんわん吠えてる(笑) GM何か普通の犬になってないか? そうしてると、拓矢くんのお母さん、鈴羽さんがやってくるよ。「クロ、大丈夫?」 クロ「ああ、大丈夫。」 一同ん? GM「何だかさっきわんわん吠えてたみたいだけど(笑)。ひょっとして、怖いの?」 クロ「そ、そんなわけないだろっ」 GMすると突然、激しい揺れが! クロ「きゃうんっ(笑)」 尻尾が垂れてるな。 経若かわぃぃ〜。 GM鈴羽さんがジト目で見ているよ。まあ、そんな会話をしていると「意外と臆病なのね。」というどこかで聞いたことのある女性の声が聞こえる。 クロどこで聞いたんだろう? GM(答えず)庭に入ってきたのは、白い狩衣と紫の袴を着た女だ。 クロ「てめえは……!」 GMそう……君の友人・阿部拓矢をさらった張本人、<陰陽師>阿部那月だ。 クロそれを確認したらすぐに妖怪になって、「てめえ、タクヤをどこにやった!」 GMすると那月は懐から水晶玉を取り出して「いきなり飛び掛かったりしたら大変よ。」と、君にそれを近づける。その中には拓矢の姿が見える。何か叫んでるけど、君には全然聞こえない。 クロう〜む。 GM「分かる? あなたが襲いかかってきて、私のバランスが少しでも崩れたらどうなるか」……あ、バランスなんて言う言葉は知らないよな。戦国時代の人なんだから。(笑) 麗子平衡感覚とか。 GM「私の手元が少しでも狂えばどうなるか、術に疎いあなたでも分かるでしょ?」 中の人間が解放される。 麗子とは限らないよ。 クロ「……何のつもりだ?」 GM「あなたには伝言を頼もうと思って。」 クロ「どういうことだ。」 GM「真樹麗子に伝えて。」 クロ「……何を?」 GM待ってくれ。今考えてるんだ(大爆笑)。 経若マスター! 重要な台詞くらい決めておいてくれ。 経若伝えておいてくれって言っておいて、考えるなよ(笑)。 GM(気を取り直して)「明日の夜、初島に来てちょうだい。無論、全員でね。」ちなみに初島っていうのは諏訪湖にある小さい島なんだ。(地図を見せる) 風斗ふーん。 GM「じゃあ、麗子に伝えておいて。」 クロ「タクヤは……タクヤはそこにいるんだろうな!」 GM「もちろんよ。この中にいるのは魂のみだけど。」そう言いながら水晶玉を手の中で転がしてる。「ふふふ、楽しいわね。」 クロ「てめえっ!」 麗子那月ってそういう性格じゃなかった気がするけど……。
注:那月の背景設定は麗子のプレイヤーが作りましたが、NPCなので性格その他はGMの裁量……
GM「私の予想では明日の昼には帰ってくるはずだから。必ず伝えてちょうだい。」彼女はそう言い残すと軽く微笑んで、ふっと姿を消す。 クロ無力だ……。腹が立つんでご飯皿を払ってやろ。ぱあん。 GM「クロ、ご飯がもったいないじゃない。ちゃんと食べときなさいよ(笑)」 瀬川どうしてそこでボケるんだー! GM「そうじゃないと、フリルよ。」
フリルの刑。
阿部家四千年の歴史を持つ刑罰。受刑者にフリルつきの服を着せ、精神的苦痛を味合わせるものである。(笑)
(注:これは、クロのプレイヤーが考えたものです。)
GM「フリルよ、フリル。」 クロ「誰のせいでこんなことになったと思ってるんだあっ!(笑)」 瀬川あ、怒った。 GM「ひどい……ひどいわ、クロ。」と言って、壁に取りすがって嘘泣きを始める。「えーん、クロがフリルつきの服を着てる写真を近所中に配っちゃうからぁ。しくしく。」 クロがあああっ! 経若すげー復讐方法だ。 GM(真面目な顔になって)で、どうするの? クロ何もできんだろう。 GM拓矢くんの父、充弦さんが「鈴羽のことはどうでもいいから。」と言ってくれる。 どうでもいいのか? GM「クロは大社堂の皆さんに連絡を。」 クロ「分かりました。今から行きます。」
GMさて、次は恋人・上総陵と衝撃的な別れをしてしまった――(と言って茜を見る)。 はい。 GMまあ、陵は<がしゃどくろ>無玄骸連の力で<亡霊将校>の一部として復活し、君の前から立ち去っていった。その直後に<龍>が現れたというところかな。どうする? 茫然としてる。 GM何もしない? 外で<龍>が暴れ回ってるけど。 何もしない。 GMしばらくして<龍>は消えてしまうけど、震動は収まっていない。 妖怪の姿に戻って、外を飛び回りたい心境だけど。<龍>が飛んでるなら、あと一つや二つ飛んでも妖怪とは思われないだろうし。 瀬川(笑)無茶を言う。 GM<龍>については覚えているよね? はい。
<龍>――諏訪地方に眠るという強大な力。かつて妖怪として復活した木曾義仲が、その力を手に入れている。その彼を倒したのが、先代の<大社堂>メンバー5人である。激しい戦いの結果、一人は死に、一人は姿を消した。残る三人も傷ついた身体を休めるため、眠りについた。

<御柱>真樹麗子は彼らから<龍>の知識を授けられたはずなのだが、記憶に混乱が生じたらしく覚えていない。なので、大社堂は全力を挙げて<龍>を見つけだそうとしているのだ。なお、真樹麗子の名誉のために言っておくが、彼女は単なる天然ボケではない。そう……おそらく(笑)
とりあえず<龍>は大社堂全体の問題なんで、自分のことよりも優先します。大社堂へ行きましょう。 GMはい、わかりました。
つづく…………
←prev 目次に戻る next→

© 1997 Member of Taisyado.