1.それぞれの始まり
GMえ〜っと、それでは、妖魔夜行のセッションを始めます。(しどろもどろ) 氷高こらこら、緊張するな。普通にやれ、普通に!(笑) GMだって俺、こういうのって(テープに録音すること)慣れないんだよお(笑)。えっと、ちなみにこれはキャンペーンの第3回になります。(これまでのあらすじを説明して)それじゃぁ、茜から始めましょう。 はい。 GM君は那月事件が終わった後、家へ帰ると死んだはずの恋人・上総陵がいて抱きしめられた――っていうところまでだったね。今は二人とも家の中に入っているよ。 「…………。(戸惑っている)」 GM何か聞くことはないのかい? 言っておくけど容貌は昔の、若い頃のままだよ。 茜って呼んでくれましたっけ? GMうん、言った。その声もまったく瓜二つで……あ、瓜二つって言うと怪しまれるから、ちゃんと言うけど(笑)間違いなく本人だろうね。……まぁ、また「空似」が暴れ出したって言うなら話は別だけど。 一同(大爆笑)
「空似」とは「大社堂」のメンバーでプレイした初めてのシナリオに出てきた妖怪である。
亡くなった人間に化ける能力を持っており、交通事故で母を失った少女・葉沢詩織の悲しみと強い愛情が呼び寄せてしまったと言う設定。同じように母がいない風斗との関係も交え、なかなか良いプレイだった。
(注:このセッションは美化されて小説になっています。こちらをご覧下さい。)
やっぱり最初は驚きで声が出なくて、とりあえず「……陵?」と。 GM「茜、何を驚いた顔をしているんだ? 君らしくないな」 「だって、……だって、陵は赤紙が来て」 一同(爆笑) 氷高すっげぇ。(笑) 赤紙来たんすか。 召集されて、日の丸の旗がはためく中、敬礼をして千人針を送られて……。 GMやっぱり列車を追いかけたとか? 来ちゃいけないと言われてたから、鎮守の森の一番高い杉の樹の下で涙にくれていたの。 GM……何か、勝手にドラマを作っているなぁ(笑) (笑いながら)風景が目に浮かぶ。 「……のはずなのに、なぜその陵が? 立派に死にましたという紙も来たはずなのに。」 GMまあ、ねぇ。そう言われると陵は少し悲しそうな顔をして「そんなことはどうでもいいじゃないか。俺は今、ここにいるんだから。」 それだけで本当は幸せなんだけど。 GMでもやっぱり? 「でも確かにこのぬくもりは……!」 一同(笑) GMうおおおおっ。(こういう台詞に弱い。) もうこのまま眠ってしまいたいような。嘘でもいいから。 GMうわあ、いいねぇ。で、そんな時に電話がかかってくる。
ぷるるるる、ぷるるるる。(鳴ったときの擬音らしい。)
「電話……ごめん」と言って、陵の手をゆっくりと離して背を向けるような感じで。顔なんか火照ってるかもしれないけど、その動悸を抑えつつ……。 GM早くしないと切れるってば(笑)。「茜ちゃん?」どうやら麗子さんみたいだね。 「あ、はい。麗子さん……。」 GM「実はね、舞花ちゃんが姿を消してしまったから後を追おうと思うの。」……知ってたよね。舞花の秘密は。 はい。
舞花の秘密とはあらすじのところでも触れたように、「鬼女・紅葉」の魂が今でも彼女の心の奥底で眠っていること。
終戦直後に、紅葉に乗っ取られた舞花と当時の大社堂の面々は戦っている。「大社堂」に入ったばかりの茜も参加していた。
GM「それで、あなたも来てくれると助かるんだけど。瀬川くんも完全に傷が癒えてなくて本調子じゃないし……どうかしら?」と言っていると、陵が君の後ろに回り込んできて、首を(横に)振る。(再び麗子に戻って)「来てくれる?」 「すぐ後から追いかけるというのは……」 GM「やっぱり、一刻を争うことだし。もし舞花ちゃんの中に眠るあれが目を覚ましたら大変なことになってしまう……。」 ウ、ウン。(咳払い)
注:純のプレイヤーは、通常、舞花を演じています。
GMで、陵は君が迷っているのを見抜いたらしく、受話器をすばやく奪って切ってしまう。 「………………………。」 GMどうした? 思考が停止してるぞ。(笑) 振り向いて、「駄目なの?」 GM「頼む。行かないでくれ。」 「とりあえず今晩だけはいるから……」 GM「戸隠なんて行ったら危険だ。ここにいてくれ。」 やっぱり五十年も待っていたから……(と言いつつまだ迷っている。) GMまだ迷っているようなら、抱きしめてあれしちゃいますけど。 あれですか(笑)。 GM抱きしめてキス、ゴー! みたいな感じですかね。 (笑)ああっ、これはっ。もう駄目だね。 陵にメロメロですから……。(笑) GMというわけで、彼女は至福の空間の中に取り込まれている、と。 やっぱり友情より愛情なのよね(爆笑) 五十年の重みが(笑)。 GMで、クロくん。君はあらかじめ舞花救出には向かわない事を伝えている。まあ、言い方は悪いけど、舞花より那月にさらわれた拓矢を選んだわけだ。 クロはいはい。 GMで、今は阿部家にいる。拓矢のお母さん・鈴羽さんが呼んでるよ。「クロ、ちょっと来てくれる〜?」 クロすぐに行くけど、ちょっと苛立ってる。 GM「話をしたいんだけどいい?」 クロ「話だったら早くしてください。俺は公園に行って野良犬集めて情報収集を(笑)。」 GM自分でも探せよ(笑)。ま、それはともかく、鈴羽さんは君を撫でながら「拓矢をさらっていったのは、確か阿部那月といったわよね?」 クロ無言でうなずく。 GM「さっき調べてみたんだけど、間違いなく私の家系に阿部那月の名があったわ。」 クロ「それは……確かですか?」 GM「間違いないでしょうね。」 クロ毛がざわっと逆立つ。 GM何かみんな細かい描写してるな。リプレイになるから力が入っているのか?(笑)。「実を言うとね、私も陰陽師としての力を持っていたの。」 一同おおお……(驚) GM「玄弦さん(拓矢の父)は子供を作れなかったから、私はあの人の血を使って特殊な術を使ったの。そして、生まれたのが拓矢。」 一同……すごい……。 GM「でもね、その術はあまりにも無茶だったから、私はすべての力を失ってしまったのよ。」 クロ「じゃあ、拓矢はその力を……?」 GM「受け継いでいるわ(きっぱり)。」 クロ「だから、その力のせいで拓矢はさらわれてしまったんです、か(とちり)」 GM動揺してるなぁ(笑)。そう言うと鈴羽さんは辛そうな顔をして、「ごめんなさいね、クロ。あなたにつらい思いをさせてしまって……でも、私はどうしても子供が欲しかったから……。」 クロう〜ん。心の中でごめんなさいですむか〜! とも思うけど。 GMそうですね。実際してはならないことだとGMも思う。
「……クロ。拓矢を助け出してくれたら、あなたにフリルつきの新しいドレスを着せてあげるから(爆笑)」
クロ「ぐはあっ……こ、心遣いは無用ですよ。」 GM声が震えてますねぇ(笑)
つづく…………
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