文責:高等部生徒会報道委員長 紀家霞
Time.2 吠えろ、<戦車>よ
(魔術師の館地下1階・格納庫前 16:58:07)
紀家...魔術師の館には地下室まであったんだなあ...。(辺りを見回しつつ)でも、妙な名前の部屋が多いな...「瞑想室」やら「実験室」やら...げっ、「拷問室」まである! 影浦(いきなり背後から登場)どうしました、紀家さま? 紀家うひゃっ!? 月子何やってるのよ、まったく。 紀家か、かか、影浦さんに、月子ちゃん...驚かさないでよ。 月子他人の家をこそこそ探るなんて、サイテーね。 紀家いやぁ、ちょっと迷っちゃって。 月子...嘘つき(ジト目)。 影浦まあ、仕方ないでしょうな。この屋敷――<塔>の部屋数は100を超えますし。 紀家いいっ!? そんなに? 影浦(涼しい顔で)はい。 紀家(僕が調べた限りじゃ、地上階でも30しかなかったぞ)...ところで、この格納庫って何があるのかな? 影浦ああ、そこは<戦車>の部屋ですよ。 紀家<戦車>? 紅男爵の事件で会ったって、天草くんが言ってたな。 月子ホント、あの我が侭な奴がよく動いたわよね。 紀家へえ...(ちょっと好奇心)。 影浦...お会いになりますか? <戦車>と。 紀家え、いいの? 影浦もちろんですよ。以前、各魔宝の説明をすると約束しましたしね。今日はここまで来たのですから、<戦車>と会っていくのもよいでしょう。 月子お爺ちゃん、月子も会わなきゃ駄目? 影浦(黙ってにっこり笑う) 紀家...(この笑顔が曲者なんだよなー)。
(格納庫 17:06:39)
紀家...魔術師の館って、どこも薄暗いよね。 戦車――余所者が紛れ込んでるみてえだな、爺さんよ。(奥からのっそりと顔を出す)。 月子出た...。 紀家あなたが...<戦車>? 戦車ああ。どうでもいいが、てめえは誰だ? 影浦彼は高等部生徒会のメンバー...若くとも有能ですよ。 紀家紀家霞です。よろしく。 戦車霞ぃ? 女みてえな名前だな。 影浦今日は紀家さまにあなたのことをお教えしようと思いまして。 戦車...ふん。まあ、好きにしな。
 (同室 17:13:44)
戦車俺は22の魔宝が1つ、<戦車>。魔術師に協力している。 紀家? 仕えてるんじゃないの? 戦車そりゃ爺さんの言い分だろ。俺はあいつの部下になった覚えはないね。誰も俺を縛ることなんざ、できねえのさ。 月子自信過剰よねー、相変わらず。 戦車男はこのくらいの方がいいのさ、おチビちゃん。 月子月子、チビじゃないもん! 影浦まあまあ。 紀家あの、<戦車>は名前を持ってないの? それに人型じゃないね。 戦車俺に名前なんて必要ねえよ。<戦車>で充分。姿の方は...どうしようもねえな。爺さんのように自在に姿を変える能力は俺にはないし。 紀家えーっと、情報によると<戦車>は空を飛ぶとかって。 戦車それだけじゃねえぜ。この俺、<戦車>は陸海空のありとあらゆる場所を高速で移動できるのさ。残念ながら、自力で異空間を渡る能力はないがね。 影浦第1の能力・<移動>ですな。 戦車ああ。無論、俺に乗った奴は結界で守れるようになってる。近づく奴らは俺の爪と牙で追い払えるし、ちょっとした移動要塞さ。 月子要はアッシー君でしょ。 紀家(アッシー...随分と古い言葉を出してくるなあ) 第1ということは、他にも? 戦車まあな。だが、あいにくと口外できん。悪いな。 影浦<戦車>第2の能力は未だ調整中なのですよ。少々危険が伴うので、坊ちゃまが封印を施されていますから。 月子とか何とか言って、実は大したことなかったりして。 戦車おチビちゃんは俺を怒らせたいようだなあ(唸り声)。 月子何よ、やる気!? 紀家や、やめなって、2人とも!
(同室 17:37:19)
影浦...さあ、お茶とお菓子を持ってまいりました。これで気分を落ち着けましょう。 月子はーい(良い子)。 戦車ふんっ(悪い子)。 紀家(やれやれ...) あ、そうだ。<戦車>の『原型』って、どんな人だったのかな? 戦車おい、爺さん! そんなことまで教えてるのかよ!? 影浦ええ。 戦車...ちっ。仕方ねえ、教えてやるか。 月子月子知ってるよ。<戦車>の『原型』ってねえ、有名なスタントマンだったんだよ。 紀家へえ...そういう人も『原型』になったんだ。 影浦<魔宝>に身を委ねた22人の同胞は、様々な分野で活躍した者たちばかりですから。多くはその才能を生かせる魔宝になっております。 紀家なるほど。 戦車ま、俺の場合...才能があり過ぎたこともあってな。同業者から締め出されたのさ。おかげで、魔術師の野郎に付き合う羽目になったんだが。 月子けど、何もしてなかったよね。ゴロゴロしてるばっかりで、研究の邪魔だったんだから! 戦車いいじゃねえかよ。どうせ俺は数式なんて解けねえんだし。 紀家...魔術師も変わった人を選んだんだなあ。 戦車俺のどこが変わってるんだ! 月子魔術師のことバカにしないでよね! 影浦(微笑みながら)紀家さま、お代わりはいかがですか?
(同室・発射口前 17:50:00)
紀家...ここは? 影浦発射口です。ここで目的地の空間軸を計測し、<戦車>は正確に飛んでいくのですよ。これには<塔>と<世界>が協力しております。 月子1人じゃ何もできないのよ。 戦車俺は常に迅速さを要求されるんだ。仕方ねえのさ。 紀家(あわわ、話を変えるべきだな)
 な、何だかワンダバ・シーンを彷彿とさせるね。
注釈.ワンダバ・シーンとは?
ロボットアニメや特撮物ではお約束の、ロボットや戦闘機など主人公が乗るマシンの発進準備時の場面のことである!
月子...何か今、話の流れが変わりそうになった気がするよ、お爺ちゃん。 影浦気のせいですよ。 戦車そうかねえ...。 紀家でもまあ、こういうものを創るってことは魔術師も意外と...(ぷっ)。 月子あー! 魔術師のこと、また笑ったわねー! 戦車じゃあ、俺が笑ってやろうか。 月子ううう〜。
(同室 18:13:48)
紀家んで、<戦車>の性格を教えてほしいんだけど。 戦車性格ぅ? まるで取材だな。 紀家(最初からそのつもりだけど) 月子<戦車>の性格なんて、今までの会話で分かるじゃない。 戦車ほお、ぜひ教えてもらいたいね。おチビちゃんの意見を。 月子自信過剰の体力馬鹿。
 しーん...。
紀家あ、えーっと、それより<戦車>の長所と短所を聞いてみたいなあ。 影浦私が判断するに<戦車>の勇猛ぶりは長所とも短所とも言えますな。冷静に事態を分析する<魔宝>が多いので、彼の考え方そのものが得難いものかもしれません。 紀家な、なるほど!(影浦さん、ナイスフォロー) 戦車ふんっ、上で<女教皇>にでも甘えてきたらどうだい、おチビちゃん? 月子なっ...! もう許さないんだからー! 紀家やめなってば、2人とも。 戦車&月子邪魔するな&しないでよ!(ステレオ) 紀家うひゃああっ!(慌てて逃げ出す) 影浦...これは、<戦車>より速いかもしれませんなあ。
今日の一品 ダージリン&ドーナッツ

◎魔宝ファイル:2 <戦車/チャリオット>

【形態】
古代の戦車につながれた金色の獅子
【名前】
なし/金色の獅子,瞳は深い青色
【原型】
マクファーレン・ロイド(まくふぁーれん・ろいど)
/スタントマン

【能力】
[高速移動:空中飛行]
陸上走行/水中潜行/エネルギー・フィールドによる搭乗者の保護
[不明]
現在、魔術師によって封印されている。その内容については一切公開されていないが、おそらくは攻撃的なものだと判断される。

【性格】
極めて自信過剰。他者からの干渉を嫌い、魔術師にさえ対等の口を利く。
危険を楽しみ、自ら死地へ飛び込もうとする傾向がある。
かつて自分たちを認めなかった者たちに、激しい憎悪を抱いている。

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