雷顕:間合いを詰めていいですか?
GM:どうぞ。まったく、つけられてることを気にしてないんで。
笙:無関心ですね。
  「じゃ、急ぎましょう。」
雷顕:一気に近づいて……とりあえず、[人払い]かけとく。
GM:どうぞ。

(言い訳:ここで「暴風警報が発令される」という連絡を受けます。
     この先、急いでます。読み辛くてごめんなさい。)

  雷顕の[人払い]は成功。
  部屋の中にいる音彦は、朱美のノックを聞き、ドアを内側から引き、
  開かないようにしている。

音彦:「開けてもいいの?」とみんなに聞きます。
雷顕:外から「結界は張った!!」と言うよ。
音彦:「あけていいの?」
銀河:「開けるべきですか?」
宴楽:俺に聞いてるの?
銀河:幹部だもんね。
   「俺は開けるべきだと思ってます。」
宴楽:「ま、そりゃ会わせなきゃ始まらないだろう。ここまで来たら。」
笙 :4人の意見じゃなくて、彼の意見でしょ?
銀河:(白河を見るけど)
GM:うなずく。
音彦:「じゃ、開けるよ」といってガチャン。

  全員が警戒する中、朱美が病室に入ってくる。

銀河:[オーラ感知]!!
GM:人間かな……妖怪っぽいなぁ……。妖力の存在はありますね。
   (←取り付かれている時の表現方法に困っているGM)
   感情まで見るんだよね?
   「何とかして……」、かすかに心の底でうごめく感じを受けるよ。
銀河:……俺、[思考感知]備わっちゃった!?
GM:ごめーん!!(笑)
一同:(笑)
GM:うーーん。もどかしさ。自分じゃなんともできなくて、誰かに助け
   て欲しいと言う感じ。ごめん、うまく表現できなくて……。
笙 :何かを何とかして解決して欲しい、ということかな?
雷顕:ということは、とりつかれている、ということか……。
   鳥に何とかして欲しい、という願い、だな。
音彦:操られている、というか、私は、こんなことしたくないのに……。
銀河:ここまでしたくないのに、ってヤツかも……。
雷顕:そっちか。

  病室に入った朱美は、黙ったまま、じっと白河を見つめる。
  「朱美……」白河のつぶやく声がした。

銀河:「鳥羽朱美さん?」
GM:呼ぶと銀河君の方を向いて、「そうだけど、何か?」
銀河:「本当に?」
GM:「私は、私よ。」
銀河:うーん。何て言おうかな、この場合は……困っちゃうね。(笑)
雷顕:「朱美さんとやら、君はここに何をしに来たんだい?」
朱美:「何かに引き寄せられるまま、ここに。私は、ここに来たくないん
    です!」
雷顕:「なぜ、来てはならないと思うか。誰かを傷つけてしまうからか、
    それとも、それさえわからないか?」
朱美:「えぇ。」って言って、白河くんを見ている。
   「このままじゃ、このままじゃ……!」
音彦:「じゃ、どうしたいの?」
GM:とですね。「このままじゃ……あぁっ!!」って朱美さんが言った
   後に、違う声が聞こえますね。

  「あなたたちに、私の気持ちの何がわかるっていうの?」
  「いい加減さぁ〜、ずるいよ、そんなの。」

  銀河のあっけらかんとした声が室内に響く。

  「出てきてほしいね。」

  打って変わった静かな口調に思わず、全員が黙り、朱美を見つめる。
  いや、朱美の姿をした何かを。
  言葉には出さなくても、みな、思いは同じ。

  ―― 分離させなければ、朱美が死んでしまうかもしれない。

  「この子も同じ思いを持っているの。だから、私が助けてるの。」
  「あなたは何度も和広さんを傷つけましたね?」

  この時とばかりに、笙が続ける。

  「でも、朱美さんはそんなことを願ってはいませんよ。一緒にいたい
   とは思っていたでしょうけれどね。」
  「そんなこと、なんであなたにわかるの?」
  「……朱美さん……。」

  続く沈黙を破るように、雷顕が声をかけた。

  「あんたは、目の前にいる白河をどう思っているのかね。」
  「裏切ったくせに調子いい事ばかり言ってる、そう思ってるけど」

  朱美に似た別人はそう告げた。

  「お前に聞いてるんじゃないっ。朱美さん!!」

  呼びかけた時、瞳の中に、一瞬灯った意思の光。
  ――まだ、間に合う……。

  かすかな手ごたえを雷顕は感じた。

恋 :「朱美さん!! 本当はどうなの?」
音彦:「もう嫌いになっちゃったの?」
雷顕:「これ以上、朱美さんを縛らないでくれないかのぅ。」

  「今度と言う今度は、許せなかったの……。」

  ―― 出てきたのぅ……。朱美さん。

  宴楽斎は、つぶやいた。
  得意な者に任せていたのが功を奏しましたかのぅ。

  「……でも、憎めなかったの……。」
  「出てきたわね……私に『彼を憎んでほしい』と願ったのはあなた。
   だから、私はかなえた。それなのに、今更……。」
  「今はそんなことを思っていないんだ、そうじゃろ朱美さん!!」
  「そ、そんな、わ、わたし、私は、やっぱり……。」
  「逃がさないっ! 得るものだけ得て、自分だけ生き……っ!」
  「で、でも、やっぱり、傷つけるのはいや、イヤなの!!」

  朱美の身体がかすかな光に包まれ、二重写しになったかと思うと、
  絵から抜け出たように床に倒れこむ。

  「ちっ。」

  言葉とともに、残ったのは、全身が輝いた朱色の巨大な鳥。

銀河:あ、やばい。和広くん、見ちゃったけど……。
GM:あ……(ころころ)耐えてる。(笑)(←ギリギリ……)
  「朱美……」と泡食った感じ。(笑)
銀河:生きてる? [オーラ感知]。
GM:生きてますよ〜、弱ってるけど。
銀河:良かった。
   「生きてますよ〜」
雷顕:和広くんは何か言わない?
GM:「お前か……」ってつぶやく。
   耐えたと言っても、驚いてないわけじゃないんで、正確な判断は無
   理〜。
銀河:きっと脂汗流してるね。
   「ようやく出てきてくれたってわけだ。」
GM:「あたしは、朱姫(しゅき)。」
   晶さんがいたら説明してくれるんだろうけど……。
銀河:窓から入ってきました。なんて(笑)
GM:じゃ、そうしちゃいましょう。(笑)
一同:来てるよ〜(笑)

  晶の説明によると、
  「血の涙を流す姫とも言うわね。詳しいことは、雷顕に説明したから
   省くわ。男に捨てられた女の恨みが積もって生み出したモノよ。」
  ということだ。

銀河:「なるほど、なるほど。で、昔話もなくなっちゃったせいで最近は
    全然力を失ってきたところにおいしい餌が飛び込んで……。」
GM/朱姫:「そういうことね。」
笙 :「結局、あなたにとって彼女は食い物でしかなかったんですね。」
GM/朱姫:「<契約の代償>と言って欲しいわね。」
銀河:朱美さんの意識はある?
GM:(……むぅ。ここは朱姫の心に向かってほしいので、却下だな。)
   ごめんなさい。意識はないので、彼女からここで契約の破棄を申し
   入れるというのはちょっと無理。
   「恨めなかった、憎めなかった、だから、あたしが代わりに憎んで
    あげたの。」
銀河:「変わりに憎むことなんてできるわけないだろう」
音彦:「代わりに憎んでって、朱美さんが言ったの?」
銀河:「憎めなかったのは、それ以上に愛してたからじゃないの?」

  「鬼になれば、それも可能よ。」

  朱姫は、くちばしを開き、羽根をはためかせ、語っていく。

  「愛したから、鬼になる。私がつけば、鬼になることも可能よ。」
  「勝手なことをーー!」
  「……銀河くん。」

  肩に手を置き、言葉を押しとどめたのは恋。
  そのいつもと違う悲しげな声に、銀河は言葉を失った。

  相手を待ち続け、待ち続け、絶望感から命を絶った恋。
  一歩、道を違えていたら、私だって、朱姫さんみたいに――。

  「でも、私も生きるために仕方ないのよ。」

  言葉とは裏腹に、朱姫にまったく悪びれる様子はない。

  「生きるために、彼女や彼らがどうなったとしても構わないのか。」
  「笙! それは、おいら、それは……。」
  「構わないわ。どうせ、私は忘れられた姫。」
←prev 目次へ next→