GM:「恋ちゃん?」乙女が。
恋 :「はい。」
GM:「……まずいことになったわね。」
笙 :「どうかしたんですか。」
GM:「そいつ、彼女がいても他の女の子に声かけてるって……。」
恋 :「ひどい人ですね。」
GM:ちょっと皆さん知力判定してみて〜。

  昼のワイドショーでは、
  『白川和広が、女優と熱愛か!?』というニュースが流れていた。
  当事者の二人は『終わったこと』と関係を認めている……。
  このメンバーで、誰が知っているのかと思えば、音彦と大獅、
  それに……

GM:宴楽斎さん、−9!?
   ……よっぽどよく聞いていたんでしょう……。
   『絶対、俺は帰ってくる。俺を信じろ。』って、名古屋を出て
   いったことも知ってるよ。
銀河:すっげぇーなぁ。なんで宴楽斎さんが、そんなことまで知ってるん
   だ!?
雷顕:きっと、こんな事ばかりしゃべる常連さんがいるんだって(笑)、
   ね。
銀河:了解。
GM:みんな、知ってていいですよ。きっと宴楽斎さんが嬉々として、
   話してくれるよ。
一同:(笑)
GM:「……恋ちゃん、こんな奴に魅入られたのかもしれないのよ!?」
恋 :「いや、……」
GM:「まさか、恋ちゃん。電話番号とか住所とか書いてないでしょうね!!」
笙 :(笑)
恋 :「う……。いや、……マネージャーさんに……たぶん、本人には……」
GM:「マネージャーから本人なんて、繋がるに決まってるでしょ……」
笙 :「ほとんど以心伝心ですものね。」
銀河:白川襲来。
宴楽:「これで、恋ちゃんもアイドルか!?」
笙 :「いや……。ま、何かあっても、恋さんの言葉から推測すると、白
    川は動けないでしょう。」
宴楽:「命に別状はないじゃろう?」
銀河:男には冷たいね。
一同:(笑)
GM:さぁ………・。(恋ちゃんには、傷は浅い、と言ったけどなぁ)
   そんな感じで、影宮が終わりました。

大獅:家に帰って、矢賀原の所に電話します。
GM:はい。
大獅:「あぁ、矢賀原か。」
GM:「彼、見つかったわ……ありがとう。」
大獅:「知ってたのか。じゃぁ、見舞いにでも行ってやるといい。」
GM:「そうね……」
大獅:「俺もつき合おうか?」
GM:「お願いするわ。」
大獅:「じゃ、明日な。」
GM:「えぇ」(受話器を置く真似)……なんか、らしくないね。
大獅:「元気ないなぁ〜。従弟がケガしたからかな〜」

GM:ジリリリーン。雷降寺に電話です。
   「刀悟だ。」
雷顕:「どうした、こんな時間に。」
GM:「すまぬ。あの歪みは、どうしたか聞きそびれた。」
雷顕:「あの後、何も分かってはおらんのじゃよ。」
GM:「そうか。……ならば晶と一緒に、調べてみてくれ。」
雷顕:「了解した。」
GM:というわけで、晶さんを呼んで来歴してもらうことになりました。

  晶というのは、晶=クリスティーという、水晶球の妖怪である。
  この影宮の幹部役であり、頼りになる存在だが、その性格は……

銀河/晶:「まったく。私がいないようじゃ、何もできないなんて、
     困ったものね。
雷顕:「といっても、過去のことが分かる者は少ないんじゃ。仕方ないだ
    ろう。」
銀河/晶:「……ま、誰も私には、かなわないでしょうけど。」

  と、タカビーである。(苦笑)
  本来はPCだが、セッションに参加していないときに、なぜかよくN
  PCとして扱われ、GMによってどんどん高慢さに磨きが掛かってい
  るのだ。
  晶のプレイヤーの名誉のために、彼女だけの責任ではないと言うこと
  をここに断らせていただきます。

GM:で、晶さんが〔来歴感知〕をするとですね。

  「森ね……。」
  (そう言われれば、このあたりは、昔、森じゃった……)

  雷顕は過去を懐かしむような、遠い目をしていた。
  戦後の復興期。
  あの、小さな森は人間たちの心のオアシスだった……。

  「ひときわ大きな樹の元に女の人が来て、何か呟いてるわ。」
  晶の声が雷顕を現実に引き戻した。
  見ているものをリアルタイムに告げる。それが彼女のやり方だった。

  「……うっ。」
  「どうした?」
  「……首を、吊ったわ。」

  しばらく、沈黙が場を支配した。それを破ったのは晶の一言だった。

  「……また……。」
  「また、首を吊ったのか?」

  雷顕は心の中に引っかかるものを感じた。
  昔、この辺りで女性がよく首を吊っていたような……。
  思いを巡らせようとした雷顕だったが、再び晶に遮られた。

  「またよ! ……いい加減にしてほしいわね。」

  まだ、続く。まだまだ、続いている。早回しにして見ても、際限なく
  続いているように思えるほどの人数だった。

  「樹の枝には、鳥がとまっている。首を吊る度、数が減ってるわね。
   ……残ってる鳥はだんだん大きく育っているし……」

  それでも、見るべき所は見ている。
  雷顕は苦笑した。

  (当たり前じゃったな。)

  “やることは、きっちりやる”
  ――メンバーが晶に信頼を寄せる理由の一つだ。

  「一羽になったわね。……育ってるけれど。」
  「時が経てば、成長するのは当たり前じゃろう。」

  そう言いながら、雷顕は記憶の糸をたぐっていた。
  何か、何かが引っかかっているのだが……。

  「この成長は、常識では考えられないわ。」

  また、沈黙が時を支配した。

  「……10年くらい何もないわ。で、切り倒されて道路ができる。」
  「その道路を通る人たちには、何もないか?」
  「違和感を感じている女の人もいるようね……敏感な人が何か感じた
   んじゃないかしら。」

GM:で、事故当日になります。一人歩く女の子に、影のようなものが
   入った気がした瞬間。彼女はふらっと、車道に出てバイクに跳ね
   られます。
雷顕:その後どうなったの?
GM:ノイズが入ってしまってます。でも、すくっと立って辺りを見回
   す彼女は見ることができたよ。で、ノイズが消えると人がわらわら
   と集まって……ってところですね。
   雷顕さん、知力判定してみて。

  昔からの伝承で、命と引き替えに、願いを叶える樹があることをどう
  にか思い出す雷顕。

GM:必ずこの樹で首を吊らなくてはいけないんだけどね。
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