雨が降って、寒くなってきたけれど、すぐ駅には行きません。
どんどん、ずんずん早足で歩いて、朝は上るのをあきらめた126段の階段を。
夜桜の下を下っていきます。
そして、駅へ行くなら右へ折れるところをそのまままっすぐ。
中山道を歩いていきます。
目指すは、秋宮。
諏訪に来たら、ここに寄らなきゃ帰れません。
しかし、寒い…。
体がだんだん冷たくなってきました。
歩くスピードをあげますが、おいつきません。
ふと前を行く人が路地から湧き出る水に手をつけていました。
ん?
私も近づいてみると……湯けむり。
温泉だっ!!
ここは、温泉の街。
湧き出ていても不思議じゃないです。
手を少し暖めて先に急ぎますが、暖めたことで余計に体中に寒さが……。
やばいっ!!
目に入った銭湯に飛び込みます。
旦過の湯。
番台というより受付という感じの銭湯。
おばあちゃんに声をかけると、券売機でチケットを買うシステムらしい。
220円!!
さすが、温泉街。
「あったまっていってくださいね」
おばあちゃんの暖かい言葉に癒されながら入っていきました。
「こんばんわ〜」
入ると中から声を掛けられます。
井戸端会議、銭湯版。
なんか、ほっこりしてて心から暖まります。
温泉のお湯は熱め。
冷えた体には、あっつーい感じです。
ゆっくりあったまって出てきて、おばあちゃんに挨拶します。
「ありがとうございます。あったまりました。」
「良かったわ〜。気をつけて帰ってね」
「はい、名古屋まで帰ります!」
「名古屋から!? ありがとうね…。ほんと、気をつけて帰ってね」
ほんとに丁寧にお礼を言われて、何もしてないよ!?と思いつつ、暖かさがしみました。
立ち上がってお辞儀をするおばあちゃんに見送られ、おじちゃんからもらったビニールをかぶって外に出ます。
よしっ、秋宮だ。
ここまでくれば、もう目と鼻の先です。
さっきより雨はざんざん降ってますが、体があったまった分、そして、足が軽くなった分、歩くのも早い早い。
待っててね、秋宮〜♪
秋宮に到着。
お風呂でゆっくりしてしまったこともあって、あたりは真っ暗。
それでも、何度も来ているだけあって、すーっと足が向いていきます。
神楽殿を裏手に回ると……本殿工事中。
うわわ。
でも、右にちっちゃく拝殿がつくられています。
そこで拝んで帰ろう。
さすがに、ビニールは失礼なのでとりましたが、雨がひどくて、フードとタオルはそのまま。
心の中でお詫びしてからのお参り。
きっと、この状況なら神様も許してくださることでしょう。
参拝も終わって、真っ暗な境内を戻っていると、広報の放送が。
「……ただいま、秋宮一の御柱が注連掛に到着し……」
これで無事に山だしも終了。
里びきまで、しばしの間、御柱も休息を取ります。
秋宮を後にして、大社通りをゆっくり下り、下諏訪の駅へ。
もちろん、歩く早さは緩めません。
だって、雨が……、雨が……、雨が……。
小ぶりに!?
駅に到着する頃には、傘がいらないくらいに。
そうか。私は、秋宮に「早く来い」って、呼ばれてたんだ!
駅についたのは、19時。
夕飯を買おうかなと財布を見てびっくり。
300円しかない!
ふと、左手をポケットに入れると、500円玉。
そうだよ。
そうだよ。
あの日、入れたんだよ。
500円。
これで、ご飯が食べられる!!
塩尻の駅でしなのに乗るまでに1時間。
駅のコンビニでご飯を買って、待合室でレポートを。
20時を過ぎた頃、コンビニがシャッターをしめかけたら
「ビールちょうだい!」
「もう、閉店なんですけど」
「ビール、何でもいいんだ」
「何でもいいですか?」
「何でもいい。」
「350と500どっちがいいですか?」
「500で」
床にお金をおいて、お支払い(笑)
そして、待合室のいすに座るおじちゃん。
奥さんがお手洗いに行っていたのか、そんなことはなにも知らずにおじちゃんの横に座ります。
どうやら冠婚葬祭の帰りみたい。
さぁ、私も名古屋に帰りますか。
また、来月、来るからね。
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