- 里引き編:1日目 その1 -
《旅のはじまり》

朝5時半。
窓からうっすらと差し込む日差しで目が覚めた。
私の家の窓は東向き(笑)

急いで支度をして6時過ぎには家を出た。

友人と合流。
久しぶりにだけど、ろくに話もせず、ちょっと駆け足でホームへ。
少々遅れてたのです(笑)
乗り込んでしまえば、もう安心。いざ、塩尻へ。

道中、色々話して昔の写真見てたら(笑)あっという間に「木曽福島」。
ちょっとうるさかったかなぁ、と思いつつ、さらに話は続く……。

そして、やっぱりあっという間に電車は「塩尻」に到着。

そのまま乗り換えて下諏訪に行けますが、いったん、改札を出ます。

え? なんでかって?
お手洗いを済ませてしまおうと。
山だしの比じゃないくらい混んでるはずなので、事前準備するくらいでちょうどよいのです。

《いざ下諏訪へ》

塩尻から下諏訪へ向かう。
岡谷駅でたくさんの人が乗り込んできた。

「こんなに人がいれば、きっと蒼明学園からも見に来てそうじゃないですか?」

確かにありそう!って……ん?
あれは、蒼明学園の制服じゃないか??

どうやら、郷土史研究会のメンバーでツアーを組んでるようだ。

『……さんから、面白いって聞いて……』

おぉぉっ!?
あれは、蒼明学園高等部の永沢委員長じゃないか?
そうか、彼らも御柱祭を見に来たのか。
#注:蒼明学園は想像上の物語です。

話を聞いていると、彼らは日帰りで行き先もほぼ一緒のよう。
この先たびたび出会うかもしれない……。
その時は、ちょっと耳、そばだててみよ〜っと。

さぁ、もうすぐ、下諏訪駅に到着だっ!!

《駅から春宮へ》

電車を降りて、ごったがえすホームを抜ける。
駅前では、トラックの荷台を使って、諏訪太鼓が披露されていた。
荷台に反射する音が全体に響きわたり、おなかに響く重低音となってこだまする。

祭りだ、祭り。

嫌が応にも高まる気持ちが、体中でリズムを刻む。

流行る気持ちを抑えつつ、まずは下社春宮へ。
駅前から曳行路を通ろうと考えていたけれど、すぐに裏道へ。

騎馬行列や、長持ちのパレードとぶつかる上に、混雑もすごくて……歩けなかった(笑)

といっても、みんなが使うルートの1つなので(春宮〜秋宮のショートカットルート)、道の両脇には屋台もたくさん出てます。
縁日の参道がはるか遠くまで続いているようなそんな感じ。

縁日気分を味わいつつ、春宮の参道へ入ります。
昔、神社に入る時に馬を下りた場所「下馬橋」(げばばし)から、春宮の参道へ出ました。
御柱の曳行ルートなので、道の両脇には屋台が所狭しと並んでいます。
混雑の中歩くこと数分で春宮境内。

私は、社務所でお札を購入。


山だしの時にも買ったんじゃなかったっけ、って?

……名古屋に置いてきちゃった(汗

いいの、どっちも大事にするもん。

『あのね、ここを春宮境内ミニ木落とし、って言うんだよ』
『有ちゃん、すごい! 詳しいんだね!!』
『えへへ。実は、親戚のお兄ちゃんが諏訪に住んでて、ちっちゃい頃にきたことがあるの』
『へぇ〜!! 有ちゃん、すごーーいっ!!』
『(てれてれ)』

有ちゃん、照れてるぅ〜♪
しかし、有ちゃんの親戚が諏訪にいるとは……(めもめも)。

こほん。
下社の御柱は、ここを下って、境内にひきたてられる。
有ちゃんが言う通り、春宮境内ミニ木落とし、と呼びます。
もちろん「ミニ」とついていることからわかる通り、山だしの時の木落としとは、落ちてくる坂の長さが比較にならないほど短い。

『……結構、急だね』
『そうなの、そうなのっっっ!! だからね……』
『だから?』
『親戚のお兄ちゃんと回り道して……(声が小さくなる)』
『……。(顔を見合わせてうなずく)じゃ、回り道しよっか』

無理もない。
祭りのない時でも、この坂を上ることができるので、ぜひ試してほしい。
かなり急勾配で、凹凸のないなだらかな地面。
少し気を抜くと、ずるずると下まで滑り落ちてしまう。

私も気合いを入れて登り始めた。

が。
前回と違い、今日は雨を多く含み地盤がゆるんでいた。
左にはロープがあるものの、ロープまで距離がある真ん中を歩いていたため、気づいたら……

ずるずるずる〜。

「危険ですので、左手のロープをご利用ください」

警察の方から声をかけられた(笑)

でもさぁ。 ここからロープをつかみにいく方が横に進まなくちゃいけないから、すべるっちゅーねん。
ということで、そのまま気合いで坂を上る。

……、って、本当はロープ使わなきゃだめですよ!!
良い子はまねしないように!!

もちろん、友人はきちんとロープを使って登り、二人して坂の上へ。

本当は境内で木落としを見る予定だったけど、入場規制が行われそうなほどの混雑だったので、急遽予定変更。
注連掛(しめかけ)のミニ木落としを見に行くことに。
山だしの時にも歩いた、ゆるやかな坂道を登り始めた。

『ねぇ、有ちゃん。さっきから法被着た人たちが、はるさん、とか言ってるんだけど、何かわかる?』
『あ、うん、御柱の呼び方でね………』

有ちゃんが、頑張って説明してますが、皆さんには私からさくっと説明しましょう。

1つの神社に4本の御柱があり、建てる場所によって「一の御柱」「二の御柱」「三の御柱」「四の御柱」と名前がついてます。

どこに建つ御柱かがわかるように「春宮一の御柱」なら「春一」というように省略して呼ぶのです。
これは、私が決めたわけじゃありませんよ。
地元の方の呼び方です。
上諏訪でも同じなので「本宮三の御柱」なら「本三」となります。

以降、特定の御柱を指す時には、この呼び方で書いていきますね。

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