プロローグ
愛。

人の想いの一つ。美しく、純粋なものだと思われている。

そうだろうか?

……いや、違う。それだけではない。

美しく純粋であるがゆえに、愛は深い闇へと通じているはずだ。

歪み。
ねじ曲がり。
ばらばらになる。

それもまた、「愛」なのだ。

しかし、人は認めようとはしない。せめて、愛だけは輝いてほしいから。

気づいていないのだ。
そう願えば願うほど、自分の心に闇が生まれるということを。
そして、気づいた時には自らが生み出した闇の中に呑み込まれていく。

もう、遅い……。

だから、認めなくてはならない。
自分の中にある闇を。
愛のかたちを。

それができなければ……。


愛。
人の「想い」の一つ。
光と闇の狭間――心にあるもの。
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