お土産物屋大社堂 ぶろぐ店

大社堂の更新履歴や、ゲームの話を細々と。。。

[SS]あの朝

先日、ハードディスクの整頓をしていた時に、もう一つ見つけ出したのが、こちら。
大社堂、ただし、元大社堂(今より1つ前の世代の時)の頃を書こうとしていますね。
これはそのまま使っていくかもしれないんですが、あまり、SSでも、大社堂を扱うことが
ないような気がして、こちらに転載。
転載してみたら、書いてみる気になるかな、と……(^^;


気づくと雨戸から差し込む日差しが強くなっていた。
苦しい――。
階下のざわめきが小さくなっていく。
声を出そうとするが、それさえもできない。
それでも、止めなくてはいけない。
止めなくては――。
何かが彼らの行く手に立ちはだかっている――かもしれない。
立とうとしても、足に力が入らない。
柱に左腕を巻きつけ、渾身の力を込めて立ち上がる。
全身が自分の言う事を聞かない。
それでも、止めなくては……。
ふらつく足で滑り落ちるように階段を下りる。
だが、そこには誰もいない。
足をもつれさせながら、土間を横切る。
「待って。」
声にならない。
胸が苦しい。
右手はいつのまにか自分の襟元を握り締めていた。
「待って……」
精一杯叫んでも、出てくるのは聞き取れないほどのかすれた声。
「麗子!?」
「…麗子殿…」
皆が足を止めて不安そうに振り返る。
近づいてきたのは、光。
「すぐ帰ってくるよ」
その笑顔を見た私は、それ以上何も言えなかった。
その時の彼は、心の底からの笑顔だった。
今まで一度も見たことのない笑顔で。
そして。
それが、彼を――皆を見た最後だった。