8.
GM美幸さんは顔を伏せています。で、美咲さんは、「<魔術師>……」と呟いて、佑苑くんを見て「はっ……鬼堂さん……」 一同(笑) 鬼堂「気にするな。今のところ、害はない。」 佑苑今のところ、って(笑)
「じゃあ、その後私が害を与えてもいいって言うことですか?」
鬼堂「そんなことは俺がさせん。」 佑苑うわっ。 宗祇「鬼堂以下、風紀委員会、剣道部を全て敵に回す気があればやってみるのも一興かと。」 佑苑「冗談ですよ。」 GM「今回の<奇跡>は、紫典美咲が願った。
『このまま死んでしまうのなら、それまで学校生活を楽しみたい。だが、自身の死後は、自分の存在を知っていた人間をなくしてほしい。」と」
一同(沈黙) 鬼堂「死ぬのか?」 GM/魔術師「あぁ。死ぬ。」 鬼堂「手はないのか?」 GM魔術師の表情が急に翳ったように思えるよ。
「生と死の法則は、"世界律"を超えたもっと大きな枠組みだ。反転させることは無謀に近い。」
鬼堂「だが、どこかに希望はあるはずだ……。」 GM美咲さんは
「いいんです、本当に。このまま死んでしまっても……。でも、死ぬまでは精一杯生きます。」
鬼堂「何が死ぬまでは、だ。君は約束しただろう? 桜を見に行くと。俺は、俺は、……約束を……守らない奴は、大嫌いだ……。 GM美幸さんが、
「助からないなんて嘘でしょう? あなた<奇跡>が起こせるんだったら、この子の病気を治してよ!!」
と言って<魔術師>にしがみついて叫ぶけど<魔術師>は辛そうに顔を背けている。
「私は万能ではない。」

――な、なんだぁ! これは!!

鬼堂の心の中に流れ込んでくる想い。

「どうして、どうしてお前の方が死ぬんだよ!」

高校生くらいの男の子が泣いている。

――か、悲しみだと?!

「死ぬのは、僕の方だったのに!!」
GM<魔術師>が少し動揺した顔で鬼堂くんを見ている。 鬼堂う〜ん。 GM「鬼堂信吾、どうしても<奇跡>を行いたいか。紫典美幸、本当に<奇跡>を求めるのか。」 鬼堂「彼女に死んでもらうわけにはいくまい。」 GM「命を懸けるか。」 一同(沈黙) 鬼堂……彼女が健康を取り戻せるなら、俺の命など安いもんだ GM「よかろう。」
影浦さんが、
「いけません。坊っちゃま。あれを使うおつもりですか。しかし、あれは、……。」
「構わん。好きなようにさせてやれ。」
「しかし、<愚者(フール)>は危険すぎます……失敗の確率が高い上に、生と死の逆転など……<愚者>が消えてしまうかもしれません。」
「構わん。」

その迫力に、影浦も口をつぐむしかなかった。

「<魔術師>の名の下に22の魔宝が一つ<愚者>よ、今こそいでよ。」

刹那。
ピエロの格好をした小学生くらいの男の子が中空に浮かび出た。

「ヤッホー、何かオイラに用、<魔術師>?」
「<愚者>、お前の逆転の力を使わせてもらう。」
「え〜? こんなに早くオイラの出番が来るなんてね。で、命を使うのは魔術師? それとも、この中の誰か? オイラに逆転の力を使わせるんだから、一人の命くらいね……で、誰?」
鬼堂「……俺だ……。」 宗祇バシッ。
「鬼堂、ちょっと待て。お前の救いたいという気持ちは分かる。しかし、もし彼女を救ったとして、お前が失われていたら、彼女の悲しみをどう癒やすんだ? それでいいのか、本当に。」
べるな「手段は違えど、やっている事は美幸さんと同じ……」 宗祇「おい、<魔術師>。人、一人の命でなければいけないのか。何人かの命であがなうことはできないのか。」 GM/魔術師「ほ〜ぅ。賢い選択と言えば賢い選択だな。」 宗祇「できるのか。」 GM/魔術師「やったことはない。」 宗祇「試してみる価値はあるか。」 GM/魔術師「おそらくは、あるだろう。」 愛美「じゃ、やってみましょう。」 GM/魔術師「いいだろう。」
 というわけで、みなさん。つぎ込む生命力の点数を教えて下さい。
一同(苦笑)
HPとして考え元値を削ることはない、また、マイナスまではつぎ込んではいけない(最高でも、HPと同じ点数まで)という条件で、集まった点数は……。
GM……49点。何か不吉ですね……。 べるなじゃ、私があと1点。
で、50点分である。
GM(ころころ)×5 よしっ。じゃ、皆さん1回ずつ3D振って下さい。
次々に振っていく
GM佑苑くんのだした「6」のおかげだね。16の時のクリティカル値――つまり、6以下を3回出せ、と。 宗祇なるほど。 佑苑つまり、そっちで2回出たんですね。 GMそういうこと。 佑苑あっぶねぇ〜。 GMそうするとピエロ姿の男の子が、
「22の魔宝が1つ<愚者>の名において、逆転の力を今ここに。」

病室中がまばゆい光で満たされ、愛美は思わず両手で目を覆った。

バタッ。

重たい音にはじかれるようにして目を開けた愛美が見たのは、ベッドに倒れている美咲の姿だった。
GMまだ、みんなは立っていますね。<愚者>の方は
「これで、オイラは……当分……出番……なし……か……な……。」
と言って消えていきます。
GM魔術師は、美咲ちゃんの脈を確かめて
「どうやら、成功したらしい……これで、私の<奇跡>はまたお前達によって、邪魔されたな。……私は、別の<奇跡>を叶えてしまったようだ。」
佑苑(鬼堂に)「今回は素直にお礼を言っておいた方が、良いんじゃないですか。」 鬼堂「あぁ、礼言っておこう。」 愛美「ほんと、シンちゃん、素直じゃないんだから。」 佑苑「まったくです。」 GM魔術師は笑いながら去っていく。 宗祇「最後に一つ言いたいことがある。<奇跡>は、起こす物ではない、勝手に起きるものだ。――今回は、俺達にとって万々歳の結果に終わったがな。」 GM「私は、魔術師だ。私は<奇跡>を起こす。そのために私は存在している。」
で、去っていきますね。去りながら、
「助けが欲しくば、願うがいい。いつでも現れる……お前達のような能力者の前にはな。」
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