1.
宝生院宗祇。
寮をはじめ施設の管理を担当する、生活委員の委員長である。
しかし、彼は放任主義を貫いており、普段、職務に口を出すことはない。それは部下を信頼しているからか、それともただの放ったらかしなのか?
GMでは宗祇くん。突然だが、君の腕時計が振動を始めるよ。このパターンは、"ノア"からの通信だ。 宗祇「どうした?(←めんどくさそう)」 GM「地下コンテナ区域で停電が発生しました。原因は送電コードの断裂です。修復のため、業者に連絡しましょうか?」 宗祇「ああ、そうしてくれ。こちらからも何人か送ろう」 GM「わかりました。では失礼します」と言って、通信は切れるよ。
地下コンテナ区域ってのは、地下に何十ものコンテナが並んでる大倉庫地帯だ。そこを管理してるのが、朱凰グループ系列の子会社「レチクル」が試験導入したコンピュータ「ゼータ」。
こいつは一部を除いて"ノア"の管理からは独立してるんだけど、色々問題続きのコンピュータだって話だよ。
宗祇ふーん。 GMで、しばらくすると、"ノア"からの報告が入るよ。切れたコードの修復は終わったけど、ちょっと不審な点があるってさ。 宗祇ん? なんだ? GM切れたコードだけどね、自然に切れたものでも、刃物でスパッとやられたものでもないんだ。しいて言えば、ネズミにでも齧られたような……。 宗祇噛み切られたって事か? …ま、そのうち何か分かるだろう。今はたいして気にしない。 GMそう……。では、時間は経って次の日だ。有ちゃん。 有子はいっ。 GM君は授業後、図書室で本の整理をしてるんだけど、そのうち奥の方で「どさどさっ」、「きゃあっ」などという物音が。 有子ど、どうしたんだろうって、探しに行くっ。 GM駆けつけてみれば、沢山の本の下敷きになってる女の子が一人。顔に見覚えがあるよ。君と同じ高等部一年、料理部に所属する河合ゆり子さんだ。 有子えっ、慌てて本をどける! GM「ん…有ちゃん、ごめん…。上の方の本を取ろうとしたら、まとめて落ちてきちゃって。ごめんね、散らかしちゃって」と言いつつ、急いで本を片づけ始める。 有子あ、私も片づける。
ゆり子と共に本を片づけ終えた有子は、ゆり子が一冊の本を抱えているのに気が付いた。
有子それ、借りに来たの? GM「うん、これ……」と見せてくれるのが『かしこい奥様』(一同苦笑)いかにして家計を切り詰め、お金を貯めるかっていう本だ。 有子「へえ〜、何かこれ、奥様向けみたいだねえ」 GM「う、うん。ちょっと見てみようかなって……」 有子ま、よく分かんないけど手続きしよう。カウンターに行きまぁす。 GM手続きを済ませると、突然、小さな動物がカウンターの上に飛び乗るよ。ハムスターだ。
「(かなり慌てて)あっ、だめじゃない……チビ! 部屋からついてきちゃったみたい」
有子「かわいい〜(狂喜)」
ここ蒼明学園では、許可さえ取っておけばたいていの動物を飼うことができる。河合ゆり子は、沢山のハムスターを飼っているのだ。
ハムスターのかわいさに狂喜した有子は、さっそくゆり子の部屋でハムスターを触らせてもらう約束を取り付けたのであった。
有子いいな〜、いいな〜、ハムスターかわいい〜。 べるなそしてつがいを押し付けられたりして。 紀家無限増殖していくに違いない(笑)。 GM「じゃあ、待ってるから」と、ゆり子さんは去っていく。と、ここで有ちゃん、聴覚判定だ。 有子え?(ころころ)成功。 GM彼女がボソッと言ったのが聞こえる。
「……アルジャーノンがしっかりしてくれないと……」
有子「アルジャーノン?」 GM「(むちゃくちゃ慌てて)え? え? な、なんでもないの! じゃあねっ!」ぱたぱたぱた。 有子何だか慌ててたけど……。 GMちなみにこのゆり子さん、小動物、特にハムスターは大好きだけど、男嫌いで通ってる。
「男なんて、あんな無責任な生き物っ!」
ってね。あと、ちょっと不器用で、料理部でもよく失敗してる。
有子あっ、親近感わく。きっと仲いいんだろなぁ。 紀家類は友を呼ぶ。 有子(冷たい視線)
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