9.
頭上にライトが落ちてくるが、有子は避けきれない。
GM頭に落ちてくる寸前、黒い布がぶわぁーって、広がる。
「お待たせいたしました。空間の歪みがあったので<空間軸>を調整するのに少々時間がかかりましたが、まもなく坊ちゃ……いえ、<魔術師>様も参られますよ。」
と影浦さんが安心させるようににっこりと笑みを浮かべる。
龍之介と有子以外のプレイヤーに影浦の説明がされる。
GMその影浦さんの笑みを見て演劇部員たちはくらぁ〜っと倒れる。 龍之介そうでしょうね。 GMさらに崩壊がひどくなる中、天井にぴしーっと大きなひびが入ります。
バッリーン!
と割れると、二等引きの白いライオンに引かれた古代ギリシアの戦車……
龍之介うわぁぁぁぁぁぁ!! GMその戦車の上に、黒いタキシードにステッキを持ちシルクハットをかぶった男の人……<魔術師>がいますね。
「生きていたか?」
「全員無事のようです。」

舞台の上の影浦が答える。

――ずいぶんと派手ね……。

影浦の側に転がりながら、愛美はそんなことを思った。

「二人ほど足らんな。殿山剛と、宮沢志保か……」

しばし、目を閉じる。

「動けるものはいるか。」
GM(ゆかりと鬼堂に)「両方のトイレに一人ずつ行け。」
男子トイレには殿山くん、女子トイレには宮沢さんがいますよ……二人とも薬を使われているみたいで、ちょっとのことでは起きないよ。
ゆかりは宮沢を魔法で覚醒させて何とか歩かせたが、鬼堂は殿山のでかい身体を背負ってくることとなった。
その間舞台上では、演劇部員を運ぶ作業が行われている。
GM「その男も運ぶといい。」守里くんを指しているね。
「まさかこのまま空間の中で殺すわけにも行くまい……そして、早くこの<戦車(チャリオット)>に乗れ。――この<魔術師>の22の魔宝の一つ<戦車>だ、覚えておけ。」
で、全員乗り込むと、ふわぁ〜っと浮き始めて、さっき<魔術師>が登場した天井の穴から出ていきます。出る時に目の前がカッと真っ白になって、一瞬目がくらむけど、次の瞬間オペラハウスの上空にいます。
龍之介はぁ〜〜。 GMで、オペラハウスも怪しく、明滅を繰り返しています。歪んだりとか……。 愛美歪むのー?? GM「空間的に安定していないみたいですな。」と影浦さんが言ってます。 有子う〜ん。 GMよし、この際だ……誰に使わせれば……(しばし沈黙)
「……江島愛美。」
愛美来るかな、と思ったよ! GMと言って君にステッキを投げ渡すよ。 愛美「はい。」 GM「[アンチ・サイ]が使えたな。」 愛美「はい。」 GM「その杖<魔術師(マジシャン)>で、この空間を補正しろ。」 愛美「は、はいっ??」 GM「お前の[アンチ・サイ]をそこへ念じてぶつければいい。<魔術師>はあらゆるエネルギーを強化できる。」 愛美「わかりました。」 GM「それも私の22の魔宝の一つ<魔術師>だ。」
――アンチ・サイ!

愛美がそう念じると、<魔術師>から白い雷がオペラハウスに落ち、その光はオペラハウス全体を包み込んだ。
GMその光が消え去った後には。今までのオペラハウスが。元通りになってますね。すると、守里くんが着ていた"紅男爵"の服がすっと消えていく。その後、音もなく<戦車>は下に降りていくね。
「降りろ。」
愛美降りますよ。 GM「その香具坂守里だけは、預からせてもらおう。」 龍之介「どうするんだ!?」 GM薄い笑みを浮かべて「色々聞きたいこともあるからな……ご苦労だったな。<奇跡>は君たちのおかげで起こせそうだ。」 愛美「今回の<奇跡>は何だったの?」 GM今後の役に立つかもしれないし、なぁ……。
「……依頼をしてきたのは幻影の歌姫だ。彼女が望んだ<奇跡>、それはすなわち、彼女自身の消滅と香具坂守里が"裏生徒会"の支配から逃れることだった……今回のことではこちらも十分に手助けをしてもらった身だからな。知りたいことがあれば来るといい。行きたいと望めば、私の屋敷はその場に現れる……私の屋敷も私が使う22の魔宝の一つ<塔(タワー)>だからな」
ゆかり崩れますよ〜(笑) 愛美リバース!(笑) 龍之介反対になっても、意味変わんねぇ……。
22の魔宝、と言う時点で、タロットに関連しているのであろうと全員が考えている。(笑)
GM「訪ねないことは、絶対にないと思うがな。」 愛美それは、愛美見て言ってない? GMいや、みんなに言ってますよ。でも、彼女中心であることは間違いない。 ゆかり全部ここ(と愛美を指す)に。(笑) GMま、その理由はおいおいあかされるだろう。
「"裏生徒会"について、知りたかったら来い。」
と言うと、どんどん上にあがっていきます、音もなく。
愛美「行かせていただきます。」呟くよ。 GMそう、選択しちゃったね。
←prev 目次に戻る next→

© 1997 Member of Taisyado.