4.
滝之水と美術館に行き、作品を見せてもらうこととなった。
GM
奥の小さな扉を開けて、中に入って、ごそごそとやって「これです」と見せてくれる。……両親と妹の絵だね。素人目に見ても分かるくらいうまい。「これで満足でしょうか。」
愛美感動で声も出ない。
GM/滝之水「え!? あ。あの。どうかしたの?」
愛美「いえ、大丈夫です。」
有子は感じた。
――何か、おかしいな。
二人の方を見てみる。
二人とも、感心しきったようにその絵を見ていた。
でも、でも、でも、……。
……なんだろう??
愛美「あれ、有ちゃん、どうかしたの?」
有子(下向いて)「あ、いえ。何でもないです」もう一度絵をじーっと見て、滝之水先輩もちらっと見て……(と、GMを見る)
愛美(GMを見ながら)どういう目なんだか。
有子目、逸らすしぃー。(笑)「う〜ん。」
愛美「だから、どうしたの? 有ちゃん。」
有子「何か引っかかるんですけど、よく分かんないんですぅ〜〜。ごめんなさ〜い! わーん、わーん。」
愛美ちょっと有ちゃんを抑えて「ごめんなさいね、気分悪くしたら……」
GM/滝之水「あ、いえ。別に……」
愛美(小声で)「そう言うことは大声で言うものじゃないでしょ。」
有子「あぁ、そうか! ごめんなさい。」
GM小さな部屋の鍵を閉めて出てくるよ。
愛美「こんな所に厳重保管されてて、何で引き裂けるのかしらね〜。」
有子「そうですよね〜」
鬼堂「うむぅ……。絵のしまってある、あの扉を開けられるのは君以外には?」
GM/滝之水「美術部の部員だったら。あと、顧問の先生です。」
――ん?
鬼堂は思わず苦笑していた。
誰もまだ、現場を見に行っていないことに気づいたのだ。
――でも、な……。
愛美「じゃ、美術部に行きましょ。」
鬼堂「そういうことは……あまり。婦女子と接触を取るのは……。」
有子(笑)
愛美「ったく、これだからもう……役に立たないのよね。」(ひどい言いようだ)
っていうことで、美術部の方に来ましたよ。
「滝之水美花さん、いらっしゃいますか?」
GM奥の方で彫刻やってた女の子が 「はい」
愛美「こっち来てもらえるかしら?」
GM/美花「はい。」って言って、内気そうな子だよ。
愛美「お兄さんの絵が切り裂かれた事件に関してどう思う?」
GM/美花「あ。」って言って、バッジの方を見て、「生徒会の方ですか……」
愛美「そうなのよ。この蒼明祭の準備で忙しい時に事件が起こっちゃって大変なのよ。協力してもらえないかしら。」
GM/美花「はい。……あ、あれは健くんが……。」
愛美「健くんって?」
GM/美花「健くーん。」
GM新城寺健(しんじょうじ・たけし)。美花と同じクラスですね。ちょっとひょろひょろっとした感じの……ガリガリって感じはしないけれどね。ちょっと細身の子が来るよ。
愛美「健くんがどうしたの?」って言って先を続けさせる。
GM/美花「あ、健くんがお兄ちゃんの絵が破られてるって言うから、私も急いで来たらそうなってて……」
GM/新城寺「あれ? この人……あぁ、生徒会の。」
愛美「新城寺くんが最初に見つけたのかしら?」
GM/新城寺「はい。」
愛美「どういう状況だったか教えてもらえない?」
新城寺の説明をまとめると、朝、授業の始まる15分くらい前に掃除のため部室に来ると、普段、絵にかぶせてある布が外され、絵が切り裂かれており、予告状がピンで留められていた、という。
GMそうするとですねぇ。
「何かね。生徒会の者が探偵ごっっこかね?」
愛美誰?
GMえーっと。美術部顧問の中崎先生。時折、甲高い声になる(笑)
愛美私(プレイヤー自身)の嫌いなタイプの先生だな。
GM/中崎「確か江島君だったかな。」
愛美「よくご存じでいらっしゃいますね。」
GM/中崎「君の評判はよく聞いてるからね。はははは……」
愛美「ありがとうございます。」
……どんな評判かはあえて聞かない。
GM/中崎「で、何か用かな?」
愛美「絵が切り裂かれてしまった事件に関してなんですけれども、先生何かお気づきの点はありませんでしょうか。」
GM/中崎「いや、別に。生徒の主体に任せているからね〜。」
愛美(小声で)あんたは全くやる気がないって事か!
GM/中崎「おかげでこういう事件が起こってしまったって訳だ。まったく。生徒に任せすぎるのも、困ったもんだよ。」
愛美この人って、反体制派なの?
GMそういうんじゃなくって、ただ、性格が陰険なだけ。
愛美了解。よくいるよね、そういう先生。
「滝之水高雄くんの絵に関して先生はどう思われますか?」
GM/中崎「いやあ、彼は実に素晴らしい。私の指導のお陰で……」
愛美ぷるぷる…(←こめかみに青筋が浮いている擬音)
GM/中崎「……素晴らしい画家になるだろう。はっはっはっ。」
愛美「蒼明祭に出品する絵をこれと同じようにすると言われていることについては、どう思われますか?」
GM/中崎「ばかばかしいねぇ〜。これも単なる悪戯だろう。美術館には鍵も掛けてあるし、そうそう忍び込める訳もない。」
愛美「その鍵を開けられるのは?」
GM/中崎「当然、美術館の関係者と、美術部員と、私、かな。」
そうすると、そばにいた美術部員が硬直している。
愛美「そんなことをする美術部員はいないと思いますよ。」
GM/中崎「ま、そうだといいけどね〜。」と言うと
「先生、何て事を言うんですか!」
愛美誰?
GM知っててもいいよ。深尾真由菜だね。
「それはあんまりだ!」という真由菜に「教師に対する礼儀を知れ。」という中崎。
愛美は見ているしかない自分に腹が立っているようだ。
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