影浦さんのティータイム Time.4

　（魔術師の館１階・調整室　12:15:00）

紀家るーるるーるーん♪　きょーうも、しゅーざいだ、特ダネだー♪　？　ご機嫌ねー、霞っち。紀家もっちろーん！　...って、何でべるなちゃんがここにいるー！？（がびーん）べるなふふふ、電波が私に命令したのでぃーっす。

高等部会計監査委員長、倉橋べるな。
天才奇才揃いの学園内で、一際目立っている電波少女。
彼女と共にいれば、宇宙旅行と人体改造（される側）を存分に味わえるという。

影浦倉橋様、どうぞ。べるなあ、どーも。......えーと、これは何ですぅ？影浦シャリマティーでございます。......紀家様もご一緒されてはいかがですか？べるないいですねー。イヤと言ったら、知り合いのグレイにアブダ――。紀家わー！！　分かった！　分かりましたよ！！べるな......つまんなぁいの。

　（同室　12:21:29）

紀家......ところで、根本的かつ基本的な質問なんだけど。影浦何でしょう？紀家ここ......えーと、調整室だっけ？　ここって、どんな部屋なの？べるな予備知識もないのに入るなんて、霞っちらしくないね。影浦まあ、無理もないでしょうな。そもそも部屋数が多すぎますから。紀家そうそう。しかも屋敷の構造が時々変わってるし。べるなふむふむ。実に面白そうなのでぃーっす。これは私の「魔術師、実はグレイだったのでぃーっす」論を裏付ける証拠になりそう......ふふふ。影浦......さ、紀家様。お話の続きを。紀家う、うん。ごめんごめん。
（......影浦さんもべるなちゃんには苦戦してるなー）影浦「調整室」は魔宝の整備修理を行う部屋なのですよ。ここ最近は<裏生徒会>が関連する事件で、使用することが多くなっていますな......少々、複雑な気分です。紀家そっか......。でも、あまり機械とか......その手の器具が見当たらないね。？　アハハ、魔宝をただの機械扱いしてほしくないね、兄ちゃん。紀家？　誰？べるな電波？（嬉しそう）？　違う違う。おいらはここ。ここだよーん♪ 影浦......<愚者>。お客様に失礼ですぞ。愚者やれやれ、怪我人にも厳しい爺ちゃんだねえ（空中に姿を現す）。紀家君は......。愚者へへへ、さすがにおいらのことを誰かから聞いてるみたいだね。ま、おいらみたいにユーノーな魔宝なら、無理ないか。べるなあーあ、電波だったら嬉しかったのにぃ～。残念でぃーす。愚者どっひょーんっ！！

　（同室　12:32:35）

影浦改めてご紹介いたしましょう。彼は22の魔宝の１つ、<愚者>です。愚者よっろしく～！べるなよっろしく～！紀家初めまして、蒼明学園高等部生徒会報道委員長、紀家霞です。花散里の事件では、仲間がお世話になったみたいで......。愚者いいよ、気にしなくて。確率では存在しえない可能性って、理論としては証明しにくいからね。ああいう不測の事態ってのが、おいらは大好きなんだ。紀家へ、へえ......（見た目は子供なのに、結構......）。べるな<愚者>の『原型』は、10歳で博士号を取っちゃった天才なのでぃーっす。紀家ええっ！？　でも、何でべるなちゃんが知ってるの？べるなふふふ。さあ、どうしてでしょう......。影浦......<愚者>の『原型』の存在は、某政府によって巧妙に隠蔽されていました。故に歴史上に名を残すことはなかったのですよ。紀家つくづくすごいんだね、魔宝って......。愚者まっ、どーでもいいことだよ。おいらは幸か不幸か、魔術師なんかと出会っちゃって、ますます歴史からは抹消されちゃう羽目になったけどね。べるなそれは、きっとCIAの陰謀なのでぃーっす。愚者......い、いや、それはちょっと違うけどさ。べるなじゃあ、ペンタゴン？

　（同室　12:40:58）

紀家次は<愚者>の能力について聞かせてくれないかな。愚者おいらの？　月子や爺ちゃんのじゃなくて？べるな私も知りたいでぃーす。<愚者>くんには前々から目をつけていたし。愚者へえ、そうなんだ。なら、いっか。おいらの能力は幸運と不運、だね。紀家幸運と......不運？愚者分かりやすく言うと、そんな感じなんだ。対象の確率に干渉するっていう点に関しては、幸運も不運も関係ないからさ。影浦使用者に幸運を与えて手助けし、敵に対しては不運をもたらして妨害を行なう......<愚者>は補助系の魔宝といえます。もっとも、確率という不可視の作用を扱うわけですから、負担も大きくなります。紀家なるほど。強いだけに、反動も大きいんだ。愚者それだけじゃないぜ。おいらの第２の能力には、<反転>があるのさ。紀家半纏？　それとも、斑点？　まさか......飯店？べるな服や点や中国料理店が能力っていうのも、なかなか面白そう。愚者......よく言葉の順番が分かるねえ。影浦やはり......電波ですか？べるな影浦さん、分かってるじゃないですかぁ♪　......ふふふ、今度、うちの部に来ません？紀家（か、影浦さんがアブ――じゃなくて、勧誘されてるっ！）　ええっと、それで<反転>っていうのは？愚者そのまんまの意味さ。おいらは<世界律>に干渉し、法則をねじ曲げる力をもつ。紀家それって......無茶苦茶すごくない？愚者無茶苦茶だね。だから、おいらもこれだけは使いたくない。自分が消滅するかもしれないし、とんでもない能力だから。影浦使わずにすめば、それに越したことはありませんが......。紀家......。（裏生徒会がいる以上、使わない可能性は０じゃないってことか）

　（同室　12:48:44）

べるな次は......性格とか長所や短所を言うんだっけ？紀家さすがべるなちゃん。よく分かってるね。愚者２人はラブラブなんだねえ。紀家いや、それは絶対ない（べるなちゃんの恋人はＵＦＯだもんな）。影浦私から申し上げますと、<愚者>は悪戯好きでお調子者で、人をからかう事が三度のエネルギー補給より大好きな魔宝ですな。紀家......（影浦さん......何か嫌なことがあったのか？）。べるなくぅ～！　いいですいいですぅ！　ますます私の弟にしたいでぃーす。愚者お褒めに預かり恐悦至極、感謝感激雨あられ♪ 影浦......この通りですから、坊ちゃまも苦労なされているようです。紀家むしろ苦労してるのは......影浦さんじゃ？影浦その問いにはノーコメントということで（にっこり）紀家そ、そうだね。つ、次いってみよーっ！

　（同室　12:54:33）

愚者さて、おいらの長所や短所だけど......短所はともかく、長所はたくさんありすぎて困っちゃうなあ。紀家はいはい。で、どうかな、影浦さん？　魔術師の参謀役としては。影浦そうですなあ......<愚者>は冷静な大人と無邪気な子供の両面を併せ持っておりますから、そういった意味では柔軟な思考の持ち主ですな。子供の姿をしているからと侮った者は、手酷い目に遭うでしょう。愚者でも、そうした二面性が足を引っ張っちゃうこともあるんだ。自分でも抑制が効かなくなって、暴走しちゃったりね。紀家......暴走したことあるの？愚者魔宝になりたての頃は。今は、そんなにないかな。紀家そんなに......って、じゃあ今でも、まだ......？影浦おや、お茶が切れてしまったようですなあ。べるなうーん、わざとらしいでぃーす。

　（同室　12:58:13）

愚者さぁて、そろそろ昼寝でもしようかなぁ......。影浦学園にも顔を出した方がいいですぞ。坊ちゃまが苦労されたのですから。紀家へえ、学校に通ってるんだ。ちょっと驚いたな。べるな<愚者>くんの行ってる学校って、蒼明学園でぃーっす。紀家ええっ！？　愚者まだまだ情報収集力が足りないねえ、兄ちゃん。影浦おや、学校と言えば......そろそろ授業が始まりますな。紀家や、やばいっ！　次は中崎の化学だった！　課題の山なんてイヤだー！！（爆走）愚者（見送りつつ）これはおいらの幸運でもカバーできないかもね。べるな......あ、お弁当忘れてる。ふふふ、唐揚げのアブダクションに成功でぃす♪ 影浦人の不幸は蜜の味、ですなあ......。

今日の一品　シャリマティー

◎魔宝ファイル：4　<愚者／フール>

【形態】
道化師の格好をした10歳くらいの少年
【名前】
幸代零（ゆきしろ・れい）
／蒼明学園初等部生徒，頬の絆創膏がトレードマーク
【原型】
幸代＝トーラス＝零（ゆきしろ・とーらす・れい）
／物理学博士（記録は抹消）

【能力】
［確率操作：幸運付与］
不運付与
［反転　：<世界律>への干渉］
――影響を与える<律>にもよるが、使用者及び魔宝への負担が大きいため、魔術師の承認がなければ使用不可。

【性格】
論理的な一面と子供っぽい悪戯好きな一面とが、奇妙な形で融合している。
確率を重んじる反面、運や偶然といった不確定な存在を好む。
基本的に現在の状況を面白がっており、余裕に満ちた態度で魔術師と接している。