心がよくわからないまだ生まれたての妖怪さんである天野雫と、不良少年だった柊真琴。
二人とも、ある1つの事件をきっかけに新たな道を歩き始めます。
ここで描いているのは、その事件の真っ只中であったり、事件が終わった後だったり、もうずいぶん経過して、柊が教師になった後だったり……と様々ですが、お楽しみ頂けたら幸いです。
「待ってろ、今、行く」
暗闇の中、赤い星が流れ落ち、火の鳥を形づくる。
かすかに微笑み、私は詠う。
「…ごめんなさい」
あの人を刺す雨を呼ぶ。
「センセ、ごめん。俺のせいで…」
「大丈夫よ。私、強いんだから」
朱に染まった右腕をかばいながら、雫は精一杯の笑顔を向けた。
雫は柊をかばって怪我をする。その後すぐ、二人は別の場所で話をするがその内容は闇の中。こんなことがあったのかな、というプレイヤーの想いです。もちろん、雫は強くないのに、強いと言う嘘。
放課後。
「マコト! 遊びに行こうぜ」
「行きたけりゃ、一人で行け。俺、歌舞伎町に興味ねーんだ」
「ぁんだよ、それ」
「ガキの遊びは卒業だ」
歌舞伎町への出入りも多い、札付きのワル。だが、根は素直で不器用なだけ、という柊少年。彼もあの事件以来、少しずつ変わっていったようです。最後の言葉を「にやり」としながら言っている姿が目に浮かびます。
「こんにちは」
店内からは声もしない。
机の上には便箋。
「少し旅に出ます」
横に鉛筆と便箋が1枚。
私は微笑んだ。
「旅に出ます 天野」
操られたとはいえ、仲間を傷つけてしまった罪悪感はぬぐえない。勇気を振り絞って、ネットワークリーダー・レディに相談しようとTimeに顔を出した日のこと。
黄昏時の地学準備室。
戸が少し開き、声だけが聞こえた。
「センセ、俺、大学行くわ」
「思い立ったが吉日、ね」
すっと扉の外に出された問題集。
彼が大学に進学しようとする理由は不明ですが(汗)進学しようとする旨、雫に報告にくるのでは、と思うのですよ。その時の会話。教師としては、希望を持たせることしか言わないだろう雫。こんなやり取りがあっても面白いかな、と。
列車はビルの群れを過ぎ、緑の山を越えた。
何度か繰り返しているが、雫の目には入らない。
車内の喧騒も、彼女の耳には入らない。
当てのない旅。
旅に出た雫。特に行くアテがあるわけではありませんから、ぼーっと電車に乗ってる、そんな情景。
「先生!ごめんなさい。ぴぃ、逃がしちゃ…探したけど…」
「じゃ、頑張って探した、ごほうび」
開いた手のひらには、一羽の小鳥。
「せんせぇ〜っ!」
イメージは、柊くん実習中です。
正直、二人ともペットって結びつかないから想像できないっすわ(^^;;
「あら? どうなさいました?」
「実は(略)」
「あら、それはお気の毒に」
「ではそういう事で」
がしゃん。
「あらあら〜」
足元には割れた花瓶。
雫の口癖「あら....?」を使ってみました。キャラクターシートでも、1CP使って癖としてます。(確か本来は「あら、どうかなさいましたの?」という感じだったかと)口癖があるほうが、喋りがイメージしやすいということと、「あらあら、困ったわねぇ〜」の人のイメージが頭の中にあったからですね。
「マコト!?」
誰だ? コイツ。
「久しぶり! こっちに帰ってきてたんだ?」
「あぁ」
愛想笑い。
いつの間にか、俺にもできるようになったらしい。
妖怪さんはいつまでたっても大人になれないので、柊くんに登場してもらいました。成人式を頭においていたのですが、いつの間にか愛想笑いをする柊くんを思い浮かべてしまったので方針転換(笑
ザーッ!
白いブラウスがぬれ、ぴったり肌に吸い付く。
が、彼女は空を見上げ、満面の笑顔。
翌朝。
学内は噂で持ちきりだ。
「天野先生は雨を食べる」
いや、いくら何でも雨は食べませんけどね(笑 雨を浴びてとってもうれしがっている雫を見たら、生徒たちはそういうだろうな、って。
「何だかやる気なくて」
「そうか。で、何が読みたいんだ?」
「怒らないの?」
「あぁ。俺もよくサボったしな」
「へぇ〜」
「漫画専門だったけどな」
国語の先生になった柊くん。
図書館の先生になっててもおかしくないかな〜、というプレイヤーの希望です(^^;
「ごめん。センセ、俺のせいで…」
「いいのよ。」
街路樹の露で手の泥を落とすと、彼女は俺の頭に手を置いた。
「悪い夢を見ていただけだから」
振り返るとまたこの瞬間なのか!と思ってしまいました。すみません。よほどこのシーンもやっとしてるんでしょうね。。。同じシーンを別の言葉で語ってしまいすみませんでした。
隣から漂う甘いムスクの香りが鼻を突き刺す。
「ナオがぁ〜、言うからぁ〜。」
あの女性が見たらどう思うだろう。
朱い唇を少し歪めるだろうか。
柊くんの中にちょっとずつ雫の比重がかかっている、そんな感じ。
真夜中の公園。
雫は桜を見上げていた。
満月に輝く花びらがシャワーのように降りつける。
「レディ…」
年に1度。
長旅に出ている彼女からの手紙。
Timeのネットワークリーダーでもあり、雫を支えてくれる人でもある「レディ」。謎の人ですが、今は所在がわかりません。気づきの人のようなので、こういう趣向をしてくれそうな気がして書いてみました。
街がクリスマス一色だったあの日。
「補講もお休みだし、でかけないの?」
「...俺、無宗教だし」
あの女性は両手を左胸に当てた。
「神様はここにいるわ」
雫の場合は、そのままです。何せ、彼女の出自は小さな神社に祀られていた、という設定なので。ただ、聞いた柊くんはどう思ったのか定かではありません(笑
「遊びだった、の…?」
「…」
何も言わずに俺は背を向けた。
「他に好きな人でも?」
「…じゃあな」
右手を上げるとアイツに構わず歩き出した
まだまだプレイボーイ(死語)の頃の柊。ちょっと、かっこよい? でも、これ以外にシーンが頭に浮かばないのよね。
「きゃぁぁぁぁぁぁ」
ごぉぉぉぉぉぉっ。
「...先生、楽しそうだね」
「初めてなんだって」
「え?」
「ジェットコースター、初めてなんだって」
なんか、雫がジェトコースターに乗る姿が浮かんで離れなくて(笑
「高校生はお断り」
どいつもお決まりの事しかいわねー。
「ねぇ、うちで働かない?」
「いや」
全速力で逃げた。
誰が、ホストなんてやるもんか。
柊がホストって面白くないかなぁ〜、って、ただそれだけです。
カーテンの奥から柔らかい光がこぼれる。
ひんやりとした空気に思わず首をすくめたが、
雫は、急いでカーテンを開けた。
「わぁ〜」
外は真っ白に雪化粧。
普通なら化粧をしている雫を思い描くのでしょうが、どうも彼女は化粧をしているのか怪しく(笑)雪化粧をみて「わぁ〜」と言ってるほうがばっちり思い浮かぶし、雫らしいので、そういうことにしました。
「てめぇ、やる気か?」
雫は慌てて駆け出した。
「せんせ、危ないっ!」
ぱしっ。
左手で拳を受けると、雫は微笑んだ。
「廊下で喧嘩は危ないですわ」
妖怪さんですから、高校生の喧嘩なぞ、片手で止められますが…、学校で見せちゃだめでは(笑
頭上高く茂る木々が煌き、冷たい空気にゆれる。
周囲が明るくなり、木漏れ日のスポットライトが姿を消し、
湖が周りを映し出す。
「...明鏡止水ね」
明鏡止水の湖は、長野県戸隠の鏡池を頭の中で思い浮かべていますが、周囲の状況はもっと山奥の感じを出したくて。
雫はそういうところで祀られていたのかなぁと思うわけです。
「聞いた?」
「柊先生」
「天野センセのこと」
「好きなんだって!」
学校中の噂。
「ち、違うわっ!」
「...そうなんですの?」
知らぬは当人ばかりなり。
知らぬは雫ばかりなり(笑
本気で気づいていませんので、かわいそうな柊くんですね。
え? 大社堂の誰かさんと一緒? いえいえ。彼女にはきっとふかーい事情が。。。ある、はず。。。(爆
生まれたての私。
生きている彼。
彼が私を想ってくれるのか。
私は彼を想っているのか。
わからない。
私はどうしたいのか。
それさえ、わからない。
彼女は生まれたての妖怪さんで新宿にいた頃は「感情」というものがイマイチわかってないのですよ。「想い、想われるということ」、いや、心、感情とは何かさえ。
そのうちに大切な仲間であり、自分を想ってくれてる人を自分で傷つけます。
そこから雫が自分で歩く道が始まった、と私は考えてます。(とGMにアピールしてみる:笑)
磨かれたばかりの碑。
捧げられたばかりの花。
立ち上る一条の煙。
どれほど望んでも。
どれほど願っても。
戻ることは叶わない。
それが、ヒトの命。
雫がまだ村の祠にいたころの話。
彼女と一緒に遊んでいた子供が一人、川に流されて命を落とします。
ずっと前のこと。でも、彼女は、きっと今も思っているのではないかと。
#最初の3行はむかーし書いた乙女のSSからのパクリです(汗
「あー、何も手につかねー」
部屋の中を往復しては、時計を見てため息をつく同僚。
翌朝、弾んだ声で電話が入った。
「目は俺に似てて可愛い」
「生きる」。
同僚の先生に子供が出来た日のこと、というイメージです。
「センセ? 死にたいと思った事ある?」
なぜ争うの?
なぜ傷つけあうの?
なぜ...私は傷つけてしまったの?
「せんせ!」
雫が会話に戻ることはなかった。
難しい。。。
仲間を傷つけ、死にたいほど後悔していた雫がどうして生きようと思ったのか、それが自分でも良くわかりません。。。何らかの出会いがあったのかな。
「垣根から中を覗いた源氏は」
シュッ。
「かわいい少女を見つける」
シュッ。
「なぁ、マコト」
「ん?」
「高校生に紙芝居はなくねー?」
実習のための教材研究をする柊。
「興味を持ってもらう」ということがいかに難しいか体験して初めてわかる、ということでしょう(にやっ)
「だっりぃー」
柊は机に突っ伏した。
「マコト!」
「ぁんだよ!」
「うちの部のヤツらには言ってあるから、泳いで来い。身体なまるぞ」
夏の暑さにうだる柊と見越してる友人、といったところでしょうか。
なんかぽんっと浮かんだので。。。
桜が風に舞う。
「先生!!」
ばたばたばたっ。
「今までありがとうございましたっ!!」
頬には涙の跡。
目には輝く未来。
手には、寄せ書きの色紙。
こういう一瞬が、雫はすきなのでしょうね。生徒と触れ合える瞬間が。
「水ー!」
ガンっ。
「もっと丁寧に置けないの?」
「……」
「あんたがケガさせたのよ?」
ばっしゃーん。
「何するのよっ!」
「渡せとは言われてない。」
なんでこういう状況になったのかは謎ですが、柊には耐えられない状況には違いないですね。...って、どんなイベント!?(爆
「てん、てん、てんまり〜♪」
青空の下、子供達の歌声が響く。
暖かい日差しを受け、鞠が煌く。
「せんせ!」
「あら...?」
春風は遠く夢の中。
鞠をついている子供たちを遠くから見つめる雫。こんな風景を経て、今があるのですが。。。いったい間に何があったんでしょうね(汗
雨がしとしと降っている。
切なく響く雨音。
痛みを知るほど、人は優しくなれるらしい。
私は優しくなれるだろうか。
人ではない、私でも。
これも、雫の心の中ですね。
大きく影を落とす、あの事件。雫は振り切って成長できるのでしょうか。
ちょっと心配になってきました(こら
「マコト! ほいっ」
「ぁんだよ、これ!」
「余り!」
包みを投げると横を駆け抜けた。
「やべ...」
豪華すぎるラッピングに、柊の顔は歪んだ。
「余りじゃねーだろ、これ!」ということですね。
まぁ、こんなことは柊にとってはしょっちゅうあったことでしょう。
遥か彼方まで広がる草原。
日差しは朝露に煌き、風は静かに吹き渡る。
蝉時雨、網を持った子らが駆け回る。
今は昔。
目の前に広がるダムの湖。
雫のいた村はダムの底に沈んでしまいました。
暖かかった村の人々も今はいずこ。
「お頼み申しあげます」
眼前には果物や鮮魚。
昼夜を通し、楽が鳴り、歌が響く。
その心に打たれ、私が歌えば空がかき曇る。
雨を呼ぶのが私の務め。
雫は、小さな祠に祭られていた雨を呼ぶ神様という設定。ちょっとだけその頃のことを書いてみました。
白地に朝顔の絵柄に、蘇芳の帯。
祭囃子の響く参道をゆっくりと歩く。
「声かけようぜ」
「…やめとけ」
ふと女が振り返った。
「あ、せ、先生!」
お祭りの夜って、浪漫な気分ですよね。
ちょうちんや屋台の明かりって黄色っぽくて、ふんわりしていて幽玄な感じで。
そんな中、ナンパしようとしてる柊たち―でも、柊くんは気づいたみたいですが(笑)と、普通に楽しんでる雫、出会ってたら面白いかなぁと。
人は何を考え、何を見て、何を思うのか。
何度も季節が巡り、何となくわかった。
―静心なく花の散るらむ
桜があってもなくても、そわそわする春。
雫は妖怪になったばかりのころ、心がわからなかったのです。
いろいろな経験をして、なんとなく分かってきたのでしょう。
自分の中にも「思い」がある、ということが。
「センセ、またね」
笑顔で手を振る少女の手には第2ボタン。
− 皆が笑顔でいられますように。
胸の前で右手を握り締めつつ、笑顔で送り出す。
卒業式の一コマです。
「…」
両手を頬に当て、切ない視線を投げる。
ふと彼女は顔を上げ、目の前で手を叩く。
すっと腕を伸ばし、引き寄せたのは、梅の形をしたお饅頭。
いつも女性が闘う「欲」です。
きっと、雫も、闘う、よ、ね?(笑
「先生!」
小さく折り畳まれた紙を押し付け、彼女は飛び出した。
その姿を呆然と見送り、彼はゆっくりと紙を広げた。
『めっちゃいい先生になれるよ』
教育実習の最終日に担当していた生徒からお手紙をもらう柊。
もし、もらったら、お守りとしてずっと持っているだろうな。
© 1997 Member of Taisyado.
仲間が助けの手を差し伸べるも、操られた雫は微笑んで彼の弱点を攻めた。
これが彼女のターニングポイントであり、今でも刺さったままの心のとげ。