2.
―― この幸せは、必ず、手に入れる。
たとえ、どんなことがあろうとも。
そのためなら……私は、何も怖くない。
しばらく、テープの調子が悪くシーンが飛んでしまっていますので、強制ビジュアルシーンでお楽しみください……。 病室にいる三陵。
安西が戻ってすぐに、小学生の女の子が飛び込んできた。

「おかあさんっ!」
「えり子!!」

その子は、心配から涙がとまらない娘の顔を、ハンカチで拭いた。

なんだか、あったかい――三陵は、そう感じていた。
鬼と対峙した後だというのに、殺伐とした空気はどこにもない。
ただただ、暖かい。
しばらくして、えり子が三陵に気付いた。

「お母さん、この人は……。」
「お母さんを病院に連れてきてくれた方よ。」
「あ、ありがとうございます。」

三陵は、ぺこりと頭を下げたえり子に微笑み、えり子に話しかけた。

「そろそろお昼なんだけど、良かったら私と一緒にお外でご飯食べない? 私、朝ごはん食べてなくて、おなかすいちゃって……」

二の腕に包帯をしたまま、ちょっと照れて微笑む三陵に、吹き出した二人だった。
昼ごはんを公園近くの喫茶店で食べ、病院へ戻った三陵とえり子。

「すみませんが、どちらさまですかぁぁ〜?」
「名古屋から来た北沢です。」
「あぁぁ。皆さんが名古屋から来られた方ですかぁぁ?」

起き上がり、話をしていたその子を見て、三陵の横から小さな影が大きな声で叫んだ。

「お母さん、もう大丈夫なの?」
「えぇ、もう大丈夫よ。今日一日、念のために入院して、明日の午前中に、もう一度検査して、大丈夫だったら、おうちに帰れるわ。」
「よかったぁ〜。……えり子、怖い夢、見るし……。」

その時、その子が、一瞬、顔をこわばらせた。

―― 夢、か……あとで、えり子ちゃんに、聞いてみよー♪

三陵は、心の中でつぶやくと、少し心配そうに、えり子を見つめた。
えり子は、意を決したように、真剣なまなざしで母に話し始めた。

「お母さん、私、私、お父さんに会いたい……。」
「お父さんは、明日、迎えに来るでしょう?」
「そうじゃない、そうじゃなくて……。」

沈黙が場を支配した。
話を変えたのは、三陵。

「……えり子ちゃん、怖い夢を見たの?」
「う、うん。」

うつむいて次の言葉をうまく言い出せないえり子。
「あの、ね。」
「うん。」

三陵は、辛抱強く次の言葉を待った。
彼女の小さな肩に両手を置いて、少しでも不安から解き放たれるようにしながら……。

「……鬼に襲われたの。怖かったのに……動けなかったの……。」
「お、鬼ぃー!?」

今まで黙って聞いていた鳴神がたまらず、声を上げた。

「えっ、……あ、えっ、な、鳴神ぃー……!?」
「く、蔵山さん、ひ、ひさしぶりっ!?」
「えり子、知り合いなの?」
「あ、うん。名古屋にいた時の同級生。」

母は、その顔と言葉に何かを察したらしく、笑顔と心配がごちゃ混ぜになった、何とも言えない顔をしていた。

「俊……二人で少し散歩でもしてきたらどうだ。」
「え、慈海兄ちゃん!?」

北沢が鳴神に耳打ちする。

「少し元気付けてあげろ。それと、他に何か変わったことがないか聞いて来い」
「え、あ、あ、うん。」
「な、鳴神……くん。じゃ、一緒に……。」
「……いこっ」

と言い捨てて、部屋をでる鳴神と、その後を追いかけるえり子。
そして、それを目を細めながら見ている大人たちだった。
公園に着いた、鳴神とえり子。

「ここに、座ろう」と言うが早いか、えり子は座っていた。
鳴神は少し迷ったが「立っててもしょうがないし」と横に座ることにしたようだ。
鳴神「蔵山さん、大変だったね……。」 GM「う、うん。」
それ以上話が続かず、二人とも黙り込んでしまう。
鳴神「転校したんだ……どう、こっちの学校は。」 GM「……学校は……別に。」 鳴神「そ、そっか……。」 GM「でも、ね……あの人……あんまり得意じゃないの……。」 鳴神「あ、あの人って?」
少し微笑むと、えり子はまっすぐに鳴神を見た。
その視線に、どぎまぎしてしまい、鳴神は、そっぽを向いてしまう。

「……変わってないね、鳴神は。」
「え? あ、あ、そう、かな……」

戸惑うように、次の言葉を捜すえり子。
やっとの思いで、一つの言葉を搾り出した。

「……新しいお父さん。」
「!?」

えり子は、それだけを言うとうつむいて、何も言わなかった。
しとしとと、冷たい雨が降り出した。
三陵「あ、雨が降ってきたですぅぅ。大丈夫かな、二人とも……。」 慈海「結構、ひどい降りですね……。探してきます。」 三陵「じゃ、お願いしますぅぅぅ〜」と傘を2本、渡す。 慈海「ま、たぶん、そんなに遠くへは行ってないですよね。」 鳴神いぃぃぃやぁぁぁぁぁぁ。 三陵「今日、お昼をえり子ちゃんと一緒に食べた時に、裏側に公園があったのを見つけたんですぅぅぅ。」 鳴神あぁぁぁぁぁっっっっ!! 三陵「あまりこの辺知らないっていってたから、そこじゃないでしょうかぁっ」 慈海「まぁ、ちょっと見てきますんで、しばらくお願いします〜。」 三陵「はーい」 慈海大き目の方をさして「これ、子供用だしな。俺がさしても仕方がないし。」 鳴神甘いね。小さい方を貸して、身を寄せ合うほどにするのがお約束じゃないの? 慈海ご要望とあらば(笑) 鳴神そこまで言うんだったら、とことんまでやっちゃおうじゃないか!! 慈海「おーい、しゅ……。」す、す、す、す。(忍び足で背後に近寄るらしい)
感知チェックする鳴神に、隠密チェックで対抗する慈海。
結果は、慈海の勝ち(笑)。
慈海後ろから近寄って、上から傘を開いて差しかけて、そのまま、とっとっ……。 鳴神「え? 慈海兄ちゃん……!?」とりあえず、慌ててえり子ちゃんから離れるよ。 慈海そんなことは全然気にせずに戻るよ。 鳴神くっそー、弱みがんがん握られてる。このままだと、おいらの立場ってやつが……しょうがないから、開いてある傘を差し出して、一緒に、しかないよなぁ……。 北沢今から傘指しても意味ない気が……。 鳴神ま、しょうがないよ。うん。 慈海「ちゃんと、傘、届けてきましたよ。」 三陵「やっぱり、公園でしたかぁぁぁぁ」 安西で、(三陵が)手に持ってるのは、次、バスタオルが2つ。 三陵(笑)待ち構えてます。 一同(笑) GMぴしゃぴしゃぴしゃぴしゃ。戻ってきたよ。 三陵じゃ、えり子ちゃんから。がーーーっ(タオルで身体を拭くまね) 慈海「おーい、俊、じっとしてろよー。」 鳴神「慈海兄、自分でやるっ!!」 もう怒った!(笑) 安西……今回って、ラブコメ?(笑) 一同(笑)
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