静まり返った暗闇の中。 キーボードを叩く音だけが身を護っている。 ふと目に入った時計の針は、午前2時を軽く回っていた。 ――私、なんでここにいるんだろ...。 目の前のドキュメントに朱を入れながら、私はため息をついた。 新幹線のチケット、ホテルの予約。 《行かずに》無駄にするわけにはいかない。 でも、かといって... 私は目の前のドキュメントに視線を移した。 ――このままじゃ、絶対提出できんしなぁ...。 全角・半角の数字が入り交じる文章を前に、また一つ。 私はため息をついた。 すべてのドキュメントをチェックして、重たい体を引きずりながら 家に辿り着いたのは、午前11時。 とりあえず、日記を書いてぼーっとする頭をなだめすかす。 ここで寝たら最後――起きる保証はどこにもない。 所要時間は3時間と少し。 幕2kのスタート時間まで、あと6時間ある。 時間的にまだ余裕はあるが、少し不安がよぎった。 東京の地理はよく分からないのだ...。 |
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